末梢時計同士非同期(ズレ)とは

末梢時計同士の非同期(ズレ)とは、肝臓・筋肉・脂肪組織・腸など臓器ごとに存在する末梢時計の時間関係がそろっていない状態を指します。 具体的には、臓器間で異なる位相(時刻のずれ)が生じている状態です。

末梢時計は主に食事によって調整されますが、食事タイミングの変化に対する応答は臓器ごとに同じではありません。 そのため、同じ生活の変化でも臓器間に時間差が生じ、末梢時計同士の非同期が起こることがあります。

末梢時計は臓器ごとに存在する

末梢時計は単一の時計ではなく、肝臓・筋肉・脂肪組織・腸など、各臓器がそれぞれ持っている体内時計です。 末梢時計は、食事による代謝状態の変化(インスリン分泌など)を手がかりに調整されます。

臓器ごとに調整のされ方が異なるため、ズレが生じうる

食事タイミングが変化したとき、臓器ごとに「新しい食事時刻への同調のしかた(速度・大きさ)」が異なることが示されています。 この差が積み重なると、臓器間で異なる位相を示す状態が生じます。 これが末梢時計同士の非同期(臓器間のズレ)です。

主時計と末梢時計のズレとは、別の現象である

末梢時計同士の非同期 主時計と末梢時計の非同期
何と何のズレか 臓器間(肝臓・筋肉・脂肪組織・腸など) 脳(主時計・SCN)と各臓器の末梢時計
同期因子 食事(臓器ごとに応答が異なる) 光(主時計)と食事(末梢時計)
ズレの原因 臓器間の食事への応答速度・大きさの違い 光と食事タイミングの不一致
英語表記 peripheral-peripheral desynchrony central-peripheral desynchrony

末梢時計同士の非同期は、主時計と末梢時計の非同期とは別の現象です。

主時計と末梢時計の非同期は、「光(主時計)」と「食事(末梢時計)」という異なる同期因子の不一致によって生じます。 一方で、末梢時計同士の非同期は、すべて末梢時計である臓器間で、食事への応答の違いなどにより位相差が生じる現象です。

参考文献

Hirota T et al. Meal frequency patterns determine the phase of mouse peripheral circadian clocks. Scientific Reports, 2012.

Challet E. Shifting eating to the circadian rest phase misaligns the peripheral clocks with the master SCN clock and leads to a metabolic syndrome. PNAS, 2016.

Dallmann R. Time to eat reveals the hierarchy of peripheral clocks. Current Opinion in Physiology, 2021.

BaHammam AS et al. The Interplay between Early Mealtime, Circadian Rhythms, Clock Genes, Circadian Hormones, and Metabolism. Nutrients, 2023.