末梢時計のズレは、食事タイミングなどの同期因子により修正できることが報告されています。この過程は、再同期(resynchronization)と呼ばれます。
末梢時計は主に食事によって同期されるため、食事の時刻が安定すると、各臓器の末梢時計は再び同じ位相に揃う方向へ調整されます。
この再同期の仕組みは、 時間栄養学 の基本的な対象の一つです。
末梢時計は、食事のタイミングによって調整されます。食事の時刻が日によって大きく変わると、末梢時計が受け取る合図のタイミングも毎回変わり、位相が揺れやすくなります。
毎日だいたい同じ時刻に食事をとると、末梢時計は同じタイミングで繰り返し合図を受け取り、一定の位相を保ちやすくなります。これは、食事の時刻そのものが同期因子として継続的に作用するためです。
このため、食事の時刻が安定している状態では、臓器ごとの末梢時計も安定したリズムを維持しやすくなります。
末梢時計は、長い時間食事をとらなかった状態のあとに食事が始まるときに、強く応答することが報告されています。
これは、絶食状態から摂食状態へ代謝が切り替わることで、末梢時計に対する明確な同期信号が発生するためです。
この作用は食事の時間帯(8時か12時かなど)そのものではなく、食事が絶食のあとに始まるという条件によって生じます。
概日リズムにおける活動期の早い時間帯にあたる食事(つまり、日勤の場合の朝食)は、末梢時計の同期因子として特に強く作用することが報告されています。
この時間帯は、体温の上昇やホルモン分泌の変化などにより、体が活動状態へ移行している段階にあり、食事による代謝の変化が末梢時計に伝わりやすい状態にあります。
このため、朝の時間帯の食事は、末梢時計の位相を安定させる同期信号として作用しやすいことが示されています。
なお、同期が回復した後も、同じ食事タイミングを継続することが、 末梢時計の同期の維持につながります。
食事タイミングと体内時計(主時計・末梢時計)の関係を扱うのが 時間栄養学(chrononutrition) です。再同期は、その枠組みの中で扱われる基本的な現象の一つです。
Hirota T et al. Scientific Reports, 2012.
BaHammam AS et al. Nutrients, 2023.
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