時間栄養学とは、食事の内容だけでなく、食事の時刻や間隔といった「食べるタイミング」が、体内時計と代謝に与える影響を扱う分野です。
体内時計は、脳にある主時計と、肝臓・筋肉・脂肪組織・腸などに存在する末梢時計によって構成されており、これらは食事や光などの環境信号によって同期されています。
時間栄養学は、この食事タイミングによる体内時計の同期と、その結果として生じる代謝の変化を対象とします。
末梢時計は、光ではなく主に食事によって同期されます。食事が行われると、インスリン分泌や代謝の変化を通じて、肝臓などの末梢時計の位相が調整されることが報告されています(柴田, 2025)。
このため、食事の時刻や間隔が安定している場合、末梢時計は一定の位相を維持しやすくなります。
時間栄養学では、食事のタイミングが体内時計の同期状態に影響し、その結果として代謝状態が変化する関係が整理されています(田原 他, 2023)。
体内時計と食事タイミングの関係は、血糖調節、エネルギー代謝、ホルモン分泌など、さまざまな生理機能の時間的な調整と関係しています。
末梢時計の同期や、そのズレ、および再同期といった現象は、いずれも時間栄養学の枠組みの中で扱われます。
末梢時計の定義については 末梢時計とは何か で整理しています。
末梢時計のズレについては 体内時計の非同期(ズレ)とは何か を参照してください。
食事タイミングによる再同期については 末梢時計のズレを防ぐ・修正する方法 で扱います。
田原優 他. 時間栄養学研究の現状と展望. 臨床栄養, 142(2), 2023.
柴田潔. 時間栄養学の展望. 化学と生物, 63(1), 2025.
BaHammam AS, Almeneessier AS, BaHammam SA, et al. The Interplay between Early Mealtime, Circadian Rhythms, Clock Genes, Circadian Hormones, and Metabolism. Nutrients. 2023;15(19):4212.
Dallmann R. Circadian rhythms and metabolism. Current Opinion in Physiology. 2021;19:76–83.
Panda S. Circadian physiology of metabolism. Science. 2016;354(6315):1008–1015.