令和8年度 共通選抜 追検査|神奈川県公立高校入試 数学

問3(ウ) 図形

この問題は、いきなり長さを計算する問題ではない。最初に見るべきものは、AD=CDBF=DF である。

どちらも「同じ長さ」という情報だが、図形問題ではまず「二等辺三角形がある」という意味に読み替える。二等辺三角形が見えれば、角度が動く。角度が動けば、GOサインを出せる。

図に書き込んだ状態

令和8年度追検査問3(ウ)の図。AD=CD、BF=DF、角度の関係を書き込んだ状態。

図3(GOサインを出す判断まで)

気づき方|長さを角度に変える

AD=CD なので、△ADC は二等辺三角形。よって \(\angle DAC = \angle DCA\)。
BF=DF なので、△BFD も二等辺三角形。よって \(\angle FBD = \angle BDF\)。
△ABC は直角三角形。さらに BE⊥AC なので、Bの角度もA・Cの角度と連動する。
DE は AC にも BC にも垂直ではない。最後は、補助線で直角三角形を作り、三平方の定理で求めると読む。

ここでGOサイン

二等辺三角形が2つ見え、直角が2つ見えている。角度を入れれば、特殊角が出る可能性が高い。

さらに、答えの形に平方根がある。これは、最後に三平方の定理を使う問題だと判断してよい。

角度を入れる

角度整理約30秒

まず、△ADC が二等辺三角形なので、底角を同じ記号でおく。

\(\angle DAC = \angle DCA = \bigcirc\) とする。

角度の流れ

二等辺AD=CD より、\(\angle DAC = \angle DCA = \bigcirc\)
外角DはBC上にあるので、\(\angle ADB = 2\bigcirc\)
二等辺BF=DF より、\(\angle FBD = \angle BDF = 2\bigcirc\)
直角BE⊥AC なので、\(\angle EBD = 90^\circ - \bigcirc\)
一致\(\angle FBD = \angle EBD\) だから、\(2\bigcirc = 90^\circ - \bigcirc\)
結果\(3\bigcirc = 90^\circ\)、よって \(\bigcirc = 30^\circ\)

ここで、△ABC は 30°-60°-90° の直角三角形だとわかる。

注意|Fは何者か

△ABD は直角三角形で、Fは斜辺AD上にある。さらにBF=DFなので、Fは斜辺ADの中点である。つまり、直角三角形の斜辺の中点の性質により、FA=FB=FDとなる。ここは「直角三角形の外接円の中心」と見てもよい。

長さを出す

長さ整理約40秒

AB=8cm。△ABC は 30°-60°-90° の直角三角形なので、ACはABの2倍である。

基本の長さ

斜辺\(AC = 16\)
二等辺AD=CD なので、DはACから見て左右対称の位置にある。

補助線を引く

補助線約20秒

DからACに垂線をおろし、その交点をHとする。

この補助線は、DEを直角三角形の斜辺にしたいから引く。DEがそのままでは直角三角形に入っていないので、DからACに垂線をおろして、△DHEを作る。

Hを使った長さ

中点AD=CD なので、HはACの中点。よって \(AH=HC=8\)
垂線の足EはBからACにおろした垂線の足。直角三角形の相似より、\(AE=\dfrac{AB^2}{AC}=\dfrac{8^2}{16}=4\)
\(EH=AH-AE=8-4=4\)
高さ△ADH は 30°-60°-90°。よって \(DH=\dfrac{8}{\sqrt{3}}\)

三平方の定理でDEを求める

計算約40秒

△DHE は直角三角形で、求めたいDEは斜辺である。

三平方

\(DE^2 = EH^2 + DH^2\)
代入\(DE^2 = 4^2 + \left(\dfrac{8}{\sqrt{3}}\right)^2\)
整理\(DE^2 = 16 + \dfrac{64}{3} = \dfrac{112}{3}\)
平方根\(DE = \sqrt{\dfrac{112}{3}} = \dfrac{4\sqrt{21}}{3}\)

答え \(DE = \dfrac{4\sqrt{21}}{3}\) cm

したがって、う = 4、え = 2、お = 1、か = 3

この問題で見るべきこと

この問題は、最初からDEを追いかけると見えにくい。まず、AD=CD、BF=DFを見て、二等辺三角形を見つける。

二等辺三角形は、長さの情報ではなく、角度を動かす情報である。角度が動けば、30°-60°-90°が見える。ここまで来れば、捨て問ではなく、進む問題になる。

最後は、DEを直角三角形の斜辺にするために、DからACへ垂線をおろす。補助線はひらめきではなく、「三平方を使う形を作る」という目的から自然に出てくる。

解説者

北川誠二

個別指導塾TOMAS現役講師・北川塾主宰・認定心理士

中学受験4教科と中学国語・数学を指導。中受算数で培った比と面積の感覚、国語・数学を同時に指導することで見えてきた「問題文読解と数学得点の直結」を解説に活かす。解法のパターン化・ルーチン化は認知科学のチャンク化・手続き記憶の概念と直結しており、認定心理士としての知見がこのアプローチの背景にある。

著者プロフィール・教育理念 →