令和8年度 共通選抜 本検査|神奈川県公立高校入試 数学

問5 さいころ確率

二つのさいころを使った確率問題である。(ア)は場合を丁寧に分けて数える。(イ)は問5(イ)の定番、捨て問とされることも多いが、対称性を使った推測で攻略できる。

(ア) P が 8 個以上になる確率

(ア) 約1分

P が 8 個以上になるのは、次の 2 通りの場合である。

① もともと 9 個以上ある場合。さいころの目を \(a\)、\(b\) とすると \(a + b \leqq 3\) が条件となる。

② 8 個でぞろ目が出た場合。ぞろ目が出ると個数が増えるので、8 個のままぞろ目になれば 8 個以上が維持される。

6 個の場合は操作前に最小になる可能性がなくなるため、ここでは対象外である。

場合分けの整理

9 個以上 → \(a + b \leqq 3\) のパターン:(1,1)(1,2)(2,1) の 3 通り
8 個でぞろ目 → ぞろ目は即 1 通り:1 通り
合計 4 通り ÷ 全体 36 通り

計算

9 個以上の場合 \(a + b \leqq 3\) → (1,1)(1,2)(2,1) の 3 通り
8 個でぞろ目 1 通り(ぞろ目が出れば個数は変化しない)
合計・確率 \(\dfrac{3 + 1}{36} = \dfrac{4}{36} = \dfrac{1}{9}\)

答え \(\dfrac{1}{9}\)

(イ) R > Q となる確率

(イ)真面目に解く方法 時間がかかる

R と Q に関して、R > Q、R = Q、R < Q の 3 通りが考えられる。問題の操作は R と Q にまったく同じ手順で行われるため、R と Q の大小関係は対称である。

したがって、R > Q のパターン数と R < Q のパターン数は必ず等しくなる。求める確率は、R = Q となるパターンを除いて 2 等分すればよい。

R = Q になるパターンの整理

① ぞろ目のパターン:ぞろ目が出ると移動しないので、最後までぞろ目のまま。→ 6 通り
② 2 増 1 減の操作後に R = Q になるパターン:操作は「差が 3 ある目」の場合のみ移動後に一致する(一方に +2、他方に −1 されると差の変化が \(2-(-1)=3\) になるため、もともとの差がちょうど 3 であれば操作後に一致する)
差が 3 のペア:(1,4)(2,5)(3,6) の 3 組。ただし移動が発生しないものを除外する
(2,5) → (5−2−5) で移動なし、(3,6) → (3−3−6) で移動なし。除外。
(1,4) のみ有効。表裏で (1,4)(4,1) の 2 通り

計算

R = Q の総数 ぞろ目 6 通り + (1,4)(4,1) の 2 通り = 8 通り
R ≠ Q の総数 \(36 - 8 = 28\) 通り
R > Q のパターン \(28 \div 2 = 14\) 通り(対称性より R < Q も 14 通り)
確率 \(\dfrac{14}{36} = \dfrac{7}{18}\)

答え \(\dfrac{7}{18}\)

【ただ捨てるな】対称性による推測で絞り込む

神奈川県公立高校の共通選抜では、二つのさいころ問題がよく出る。まず覚えておきたいのは、36 通りの内訳である。一桁分の一桁が 11 通り、一桁分の二桁が 9 通り、二桁分の二桁が 15 通り、整数が 1 通りである。

今回の問題では R と Q がまったく同じ条件で動くため、R > Q のパターンと R < Q のパターンは必ず同数になる。そもそもぞろ目が 6 通りあるので、残り 30 通りを分け合う形になり、単純に等分すれば \(\dfrac{15}{36} = \dfrac{5}{12}\) が出発点になる。

ここから「2 増 1 減の操作によって偶然ぞろ目になるケースがわずかにある」と考えると、同数パターンが少し増え、R > Q のパターンが少し減ることになる。そのぶん答えは \(\dfrac{5}{12}\) より小さくなる。

\(\dfrac{14}{36} = \dfrac{7}{18}\) がその値であり、次の選択肢である「二桁分の一桁」相当の \(\dfrac{10}{36}\) はぞろ目が多すぎて不自然である。推測が当たれば得点、外れたとしても捨てたと思えばよい。

解説者

北川誠二

個別指導塾TOMAS現役講師・北川塾主宰・認定心理士

中学受験4教科と中学国語・数学を指導。中受算数で培った比と面積の感覚、国語・数学を同時に指導することで見えてきた「問題文読解と数学得点の直結」を解説に活かす。解法のパターン化・ルーチン化は認知科学のチャンク化・手続き記憶の概念と直結しており、認定心理士としての知見がこのアプローチの背景にある。

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