令和8年度 共通選抜 本検査|神奈川県公立高校入試 数学 正答率 0.4%

問3(ア) 相似の証明と線分の長さ

正答率0.4%の問題である。難問ではない。基本のルーチンの連鎖が見えるかどうかだけの問題である。

無理に計算を省略している箇所もあるが、目的は時間短縮だけではない。計算そのものにかかる時間は大したことがなくても、数値の細部を気にする精神的負荷と、確認のための検算が丸ごと不要になる。

(i) 証明の穴埋め

(a)

\(\triangle ABC\) と \(\triangle CDF\) において、\(AB \parallel CD\) より平行線の錯角は等しいから、(a) よって、\(\angle BAC = \angle DCF\)

  • 1.\(\angle ACD = \angle AED\)
  • 2.\(\angle AFD = \angle CFE\)
  • 3.\(\angle BAC = \angle DCA\)
  • 4.\(\angle BAE = \angle BCE\)

\(AB \parallel CD\) の錯角を示す等式が入る。図に角度の印をつけると逆にわかりにくくなる問題である。\(\angle BAC\) と \(\angle DCF\) が錯角の関係にあるのは直接ではない。錯角なのは \(\angle BAC\) と \(\angle DCA\) である。3. が正しい。

答え 3.

(b)

①、⑤より、(b) から、\(\triangle ABC \backsim \triangle CDF\)

  • 1.1組の辺とその両端の角がそれぞれ等しい
  • 2.2組の辺の比とその間の角がそれぞれ等しい
  • 3.3組の辺の比がすべて等しい
  • 4.2組の角がそれぞれ等しい

証明の流れには角度の話しか出ていない。辺の条件は一切登場していない。何も考えずに 4. を選べる。

答え 4.

(ii) 線分 DE の長さ

\(AB = 5\) cm、\(CD = 3\) cm のとき、線分 DE の長さを求める。

気づき方|図を見てすべきことを思い浮かべる連鎖>直角三角形連鎖術

半径を使っている または 長方形・正方形の角を使っている
 → 直角三角形が見える
直角三角形がある → 三平方の定理を使う
1辺のみわかっている → 残り2辺の比か差が分かるはず

ここで分岐

長さの情報が多い → 2辺を同じ変数で表せないか

長さの情報が少ない → 比を使ってみる

なぜ解説を読んでわかった気になるのに、次の問題で使えないのか

他の解説は「ACを⑤とおくと…」という書き方をする。これはすでに⑤とおくことが決まった後の世界を記述している。読んだ生徒は「なるほど⑤とおくのか」と思う。しかし次の初見問題で、⑤とおくという決断をする場面に立てない。

この決断は、上の連鎖から自動的に出てくる。半径がある→直角三角形→三平方を使う→比で持つ。この連鎖が走った結果として、ACを⑤と置くことが決まる。連鎖ごとルーチン化することで、初見問題でも同じ判断ができるようになる。

北川式が気づきまでルーチン化することを目標とするのは、このためである。

問3(ア)図1 円O上の点A・B・C・D・E・Fと各辺の長さの比を書き込んだ図

図1 各辺の比を書き込んだ状態

計算の流れ

比の設定

AC を⑤と置く 三平方を使うので比で持つ。\(AB = 5\) に対応。
CD は③ \(CD = 3\) に対応。\(\triangle ABC \backsim \triangle CDF\) の相似比は \(5:3\)。
CF は③ 相似比より \(CF = CD = 3\)(比で③)。
AF は② \(AC - CF = ⑤ - ③ = ②\)。
CE は⑤ \(AC = CE\)(二等辺三角形 CAE)。よって CE も⑤。

3・4・5 の直角三角形の発見

CF = ③、CE = ⑤ \(\angle CFE = 90°\) なので、\(CF:CE = 3:5\) の直角三角形。
FE = ④ 三平方の定理より \(\sqrt{5^2 - 3^2} = 4\)。比で④。
\(\triangle AEF\) \(AF = ②\)、\(FE = ④\) より \(1:2:\sqrt{5}\) の直角三角形。

DE の長さの計算

\(\triangle CDF \backsim \triangle AEF\) 相似比 \(3:4\)(CF:FE)。
DF = 1.5 \(AF = ②\) に対して \(DF\) は \(\dfrac{3}{4} \times 2 = \dfrac{3}{2}\)。
実長に変換 比①は \(\dfrac{2}{\sqrt{5}}\) cm。\(\sqrt{5^2 - 2^2}\) などから確認。
DE \(DF + FE\) の実長。\(\dfrac{3}{2} \times \dfrac{2}{\sqrt{5}} + 4 \times \dfrac{2}{\sqrt{5}} = \dfrac{3}{\sqrt{5}} + \dfrac{8}{\sqrt{5}} = \dfrac{11}{\sqrt{5}} = \dfrac{11\sqrt{5}}{5}\) cm。

答え \(\dfrac{11\sqrt{5}}{5}\) cm

解説者

北川誠二

個別指導塾TOMAS現役講師・北川塾主宰・認定心理士

中学受験4教科と中学国語・数学を指導。中受算数で培った比と面積の感覚、国語・数学を同時に指導することで見えてきた「問題文読解と数学得点の直結」を解説に活かす。解法のパターン化・ルーチン化は認知科学のチャンク化・手続き記憶の概念と直結しており、認定心理士としての知見がこのアプローチの背景にある。

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