令和8年度 共通選抜 本検査|神奈川県公立高校入試 数学

問4 関数と図形

(ウ)は正答率17.7%だそうであるが、この問題は華麗に比で解く。読んでいただければ「華麗」の感覚を理解できると思う。華麗に比で解くには、比で解こうと思わないと難しい。

まず、すぐにわかる座標を書き込む。それだけで、あとは1分で解ける。

座標の書き込み

問4の図。各点の座標と比を書き込んだ状態。A(-3,3)、B(3,3)、C(3,0)、H(0,3)、比⑤③⑤などが記入されている。

座標と比を書き込んだ状態

気づき方|座標を先に埋めてから計算に入る

点Aは直線①(\(y = -x\))上で \(x = -3\) → \(y = 3\)。よって A(−3, 3)
ABは \(x\) 軸に平行 → \(y\) 座標は変わらない。\(x\) 座標は符号が逆。よって B(3, 3)
BCは \(y\) 軸に平行 → \(x\) 座標は変わらない。CはX軸上。よって C(3, 0)
HはABと \(y\) 軸の交点。中点連結定理より HD = OD(Dは中点)
EはBCを1:2に分ける点。CO:OF = 5:3 → 3を⑤とおく

A

(−3, 3)

B

(3, 3)

C

(3, 0)

H(AB と y 軸)

(0, 3)

E(BC を 1:2)

(3, 2) ※計算では不使用

F(x 座標は負)

(−\(\frac{9}{5}\), 0) ※計算では不使用

(ア) 曲線②の式 \(y = ax^2\) の \(a\) の値

(ア) 約10秒

点Aは曲線②上にある。\(x = -3\)、\(y = 3\) を代入する。

計算

代入 \(3 = a \times (-3)^2 = 9a\)
結果 \(a = \dfrac{1}{3}\)

答え 2.

(イ) 直線EFの式 \(y = mx + n\) の \(m\) と \(n\) の値

(イ)(i) 傾き \(m\) 約10秒

図から E の x 座標は⑤、y 座標は BC を 1:2 に分ける点なので⑤の \(\dfrac{2}{3}\) = 〇\(\dfrac{10}{3}\)。F の座標は図から x = −③、y = 0。

EF の x 方向の距離は図から⑧。y 方向の距離は〇\(\dfrac{10}{3}\)。

傾き \(=\) \(\dfrac{\text{y の移動量}}{\text{x の移動量}}\) なので、

比で解く(推奨)

E の y 座標 ⑤ \(\times \dfrac{2}{3}\) = 〇\(\dfrac{10}{3}\) (BC を 1:2 に分ける)
傾き \(\dfrac{\text{〇}\frac{10}{3}}{\text{⑧}} = \dfrac{\frac{10}{3}}{8} = \dfrac{10}{24} = \dfrac{5}{12}\)

⚠️ 数値を先に入れると…(こうなる)

E の座標 \(\left(3,\ 3 \times \dfrac{2}{3}\right) = (3,\ 2)\)
F の座標 \(\left(-\dfrac{9}{5},\ 0\right)\)
x の差 \(3 - \left(-\dfrac{9}{5}\right) = \dfrac{15}{5} + \dfrac{9}{5} = \dfrac{24}{5}\)
y の差 \(2 - 0 = 2\)
傾き \(m = \dfrac{2}{\frac{24}{5}} = 2 \times \dfrac{5}{24} = \dfrac{10}{24} = \dfrac{5}{12}\)

計算ステップが増え、分数の割り算が入り込む。ミスが入り込む隙間が多い。比のまま解けば約分だけで終わる。

答え 3. \(m = \dfrac{5}{12}\)

(イ)(ii) \(y\) 切片 \(n\) 約10秒

相似比の関係を使う。△FCE と △FOI(I は y 軸上の点、直線 EF と y 軸の交点)の相似比は(③+⑤):③ = ⑧:③ である。

よって y 切片 = 〇\(\dfrac{10}{3}\) \(\times \dfrac{3}{8}\) = 〇\(\dfrac{5}{4}\)。⑤ = 3 なので① = \(\dfrac{3}{5}\)。

〇\(\dfrac{5}{4}\) = ① \(\times \dfrac{5}{4} = \dfrac{3}{5} \times \dfrac{5}{4} =\) \(\dfrac{3}{4}\)

比で解く(推奨)

相似比 △FCE ∽ △FOI 相似比 ⑧:③
y 切片 〇\(\dfrac{10}{3} \times \dfrac{3}{8}\) = 〇\(\dfrac{5}{4}\) → ⑤ = 3 なので \(\dfrac{3}{5} \times \dfrac{5}{4} = \dfrac{3}{4}\)

⚠️ 数値を先に入れると…(こうなる)

直線の式に代入 \(y = \dfrac{5}{12}x + n\) に E(3, 2) を代入
計算 \(2 = \dfrac{5}{12} \times 3 + n = \dfrac{15}{12} + n = \dfrac{5}{4} + n\)
結果 \(n = 2 - \dfrac{5}{4} = \dfrac{8}{4} - \dfrac{5}{4} = \dfrac{3}{4}\)

(i)で求めた \(m\) の値を使う必要があり、(i)でミスをしていたら(ii)も連鎖してミスする。比で解けばそれぞれ独立している。

答え 1. \(n = \dfrac{3}{4}\)

(ウ) 点 G の \(x\) 座標

(ウ) 約15秒

G は線分 CD 上にあり、△AFD と △BDG の面積が等しくなる点。G の x 座標は OC の何倍かで決まる。

比でやる以上、同じものは計算しない。高さと ÷2 は △AFD も △BDG も共通なので比に影響しない。

比の設定(3を⑤とおく)

台形 AHOF 上底 AH = ⑤、下底 OF = ③、高さ ⑤。平行でない部分の中点に D がある。
△AFD 台形 AHOF の 1/2。上底+下底 = ⑤+③ = 。△AFD は
△BDG 底辺 BC = ⑤、高さ = DG(OC に対する割合)。△BCD の底辺は ⑤ =
面積比 △AFD : △BCD = : 。G は CD を D から 4/5 の位置。

G の x 座標

OC の \(\dfrac{4}{5}\) \(3 \times \dfrac{4}{5} = \dfrac{12}{5}\)

⚠️ 数値を先に入れると…(こうなる)

座標計算や連立方程式の利用などの解法を取っている解説が実際にある。作る気にはなれないので、興味があれば他の解説を参照してほしい。計算量とミスの機会が何倍になるかは、見れば一目瞭然である。

答え \(\dfrac{12}{5}\) (く = 1、け = 2、こ = 5)

なぜ中学受験経験者はこの問題が速く解けるか

問3(エ)やこの問題のように、図形や速さを比で解くと驚くほど速く解ける。中学受験経験者は、このような考え方の訓練を2年間みっちりやってきた。

比で解くとは、数値を直接計算するのではなく「何対何か」だけを追うことである。共通する高さや÷2を無視できるのは、比の中では打ち消し合うからである。この感覚が身についていると、計算量が劇的に減る。

北川式では、この「比で見る目」を中学生にも体系的に身につけさせることを目標としている。

解説者

北川誠二

個別指導塾TOMAS現役講師・北川塾主宰・認定心理士

中学受験4教科と中学国語・数学を指導。中受算数で培った比と面積の感覚、国語・数学を同時に指導することで見えてきた「問題文読解と数学得点の直結」を解説に活かす。解法のパターン化・ルーチン化は認知科学のチャンク化・手続き記憶の概念と直結しており、認定心理士としての知見がこのアプローチの背景にある。

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