出題の傾向
漢字は知識問題、韻文は読解問題である。性格は違うが、共通するのはなんとなくで答えないこと。漢字なら文の意味、韻文なら作品中の語句に戻って判断する。
一 漢字は、まず覚える
漢字の読み書きは知識問題である。読解の工夫だけで、知らない漢字を自在に答えられるわけではない。まずは覚えることが前提になる。
音だけで反応せず、文中での意味を考える。似た熟語や、漢字の一部分の音に引っ張られない。それだけでも、知っている漢字の取り違えは減らせる。
二 なんとなく記憶にある別の熟語に引っ張られない
書き取りでは、耳で聞いた音から「こんな熟語があった気がする」と、別の漢字を呼び出してしまうことがある。音が同じでも、意味が違えば使う漢字は違う。
危ない決め方
「コッキ」という音を見て、記憶にある別の「こっき」の漢字をそのまま当てる。
確認すること
その文では何を意味しているのか。意味から熟語を決め、最後に漢字を書く。
三 読みも、音訓だけでなく意味を考える
読みの問題でも、「この字の音読みは何だったか」だけで考える必要はない。熟語を分解して意味を考えると、読みを思い出しやすい。
例 「旗手」
旗手=旗を持つ人。「旗+手」という意味が分かれば、単なる音の暗記よりも読みを取り出しやすい。
四 形声文字の「音の部分」に引っ張られすぎない
漢字には、意味を表す部分と音を表す部分を組み合わせた形声文字が多い。音を表す部分は、読みを推測したり、仲間として覚えたりする手掛かりになる。
しかし、音を表す部分だけを切り出して、その部分の現代の読みをそのまま当てればよいわけではない。音符は絶対的な読みの規則ではなく、あくまで手掛かりである。
音符を信用しすぎない。でも、記憶の整理には使う
同じ音符を持つ漢字をまとめて覚えるのは有効。ただし、問題では文中の意味と、その熟語としての読みを最後に確認する。
五 同じ読み・同じ音の仲間をまとめて覚える
一字ずつ孤立して覚えるより、同じ読みを持つ漢字や、同じ音符を持つ漢字を意味とセットで整理すると記憶に残りやすい。
- 同じ読みの漢字を、意味の違いと一緒に整理する。
- 同じ音符を持つ漢字を、似た音を持つ仲間として覚える。
- 最後は、文中の意味に合う漢字かを確認する。
六 短歌・俳句は、まず鑑賞しない
短歌・俳句は「作者の気持ちを深く想像する問題」に見える。しかし、選択肢問題で最初に必要なのは鑑賞ではない。まず、作品に何が書いてあるかを固定する。
① 情景・動き・位置関係を確認する。
② 表現技法を確認する。
③ 選択肢の付け足し・逆転・強すぎる表現を消す。
七 まず「誰が・何が・どちらへ」を固定する
短い作品ほど、一語の役割が大きい。主語、動きの方向、位置関係を曖昧にしたまま選択肢を読むと、もっともらしい説明に引っ張られる。
例 「砂丘はなるる月のはやさよ月見草」
「砂丘はなるる」=月が砂丘から離れていく。
「月のはやさよ」=月が速く動いて見える。
この二点を固定すれば、「静止している」「砂丘に向かって傾く」といった選択肢は、作品と逆なので消せる。
作品掲載について
神奈川県の公式サイトでは「著作権上の都合により省略」とされていますが、大須賀乙字は1920年没であるため、本ページでは作品を掲載しています。
なお、検査別の解説ページには作品本文を掲載していないものもありますが、多くは作者名と選択肢に含まれる語句で検索すると、作品を確認できます。
八 表現技法は、名前を覚えるだけで終わらせない
比喩、擬人法、反復などの名称は知識として必要である。ただし、問題では「その技法がどの語に現れ、どんな効果を出しているか」まで確認する。
同じ句の「月」
「月のはやさよ月見草」と「月」が近接して二度現れる。空の月から地上の月見草へ視線がつながり、両者の対応を意識させる。単に「月という語を二度使った」と覚えるのではなく、作品中で何を結び付けているかを見る。
九 選択肢の付け足し・逆転を消す
韻文の誤答も、国語全体の選択肢問題と同じである。作品にない説明を足したり、方向・程度・視点を少し変えたりして、もっともらしい誤答を作る。
パターン1 動き・方向の逆転
「離れる」を「向かう」、「昇る」を「沈む」など、作品と反対にする。
パターン2 範囲の拡大
一部の情景を「いたるところで」などと、作品以上に広げる。
パターン3 程度の強調
弱い雨を「激しく降る」など、程度を勝手に強める。
パターン4 視点・位置関係の追加
作品に書かれていない「どこから見たか」「どれだけ離れているか」を決めてしまう。
パターン5 情景・感情の付け足し
作品にない感情や状況を、それらしく追加する。
パターン6 表現技法の取り違え
比喩・擬人法などの名称や、技法がかかる対象を取り違える。
十 作品にないことを付け足さない
例 「虹の中にふるさと入れて暮れ残り」(拙作)
ここから「わが里から見上げた」「虹がわが里から遠く離れた場所にかかった」とまで決めると、作品にない視点や距離を付け足すことになる。
必要なのは、作品から直接言えるところまでで止めること。
十一 北川式で韻文を解く
短歌・俳句が特に得意でなくても、作品中の語句から確定できる情報を整理し、選択肢の違いを比較すれば解ける。
鑑賞から入る
「なんとなくこんな情景だろう」「作者はこう感じたはず」と考え、選択肢に合わせて想像を広げてしまう。
北川式
まず書いてあることを固定する。その読みは作品中のどの語から言えるのかを確認し、言えない部分を含む選択肢を消す。
まとめ
- 漢字:知識問題なので、まず覚える。音だけで決めず、文中の意味から取り出す。
- 形声文字:音符は手掛かり。読みを決める絶対ルールではない。仲間として覚えるために使う。
- 韻文:鑑賞の前に、情景・動き・位置関係を固定する。
- 選択肢:付け足し、逆転、強すぎる表現、視点の追加を消す。
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