令和8年度 共通選抜 追検査|神奈川県 公立高校入試 国語

問5 論述問題(複数文章読解)|Kさんのまとめのまとめが答えである

神奈川県の追検査問題は、カナロコでは掲載されていない。県のページでは著作権の問題で本文が見られない。しかし問5に限っては、Kさんのメモとまとめを丁寧に読めば、本文なしで答えを導くことができる。

論述文の解き方

国語のテストを解くとは、出題者が何を問おうとしているかを、傍線・選択肢・問題文などの構造から解析することである。→ 解き方の体系
Kさんのまとめの構造
Kさんのまとめは三段落で構成されている。一段落目は文章1の小括、二段落目は文章2の小括、三段落目は両文章の総括である。Kさんはメモを見ながらまとめを書いている。つまり、メモ→文章別小括→総括という入れ子構造が完成している。この構造が見えれば、本文は補助的な確認手段にすぎなくなる。

一 過去問解説

(ア) 選択肢問題 / Kさんのメモ・まとめの読解

KさんのメモとKさんのまとめを照合し、空欄Ⅰ・Ⅱに入る語句の組み合わせとして最も適切なものを選ぶ。

読解の手順

Kさんのメモを読む。文章ごとに二つの〇印がある。この二つは対比構造ではなく、「〇具体例→〇……について」という流れである。

空欄Ⅰの絞り込み(文章1)。選択肢1「統合の揺らぎの原因となる」と4「部分的な特徴を明確にする」は除外できる。1は揺らぎそのものを説明しており、統合を助ける方向ではない。4はKさんのまとめ一段落目「情報全体として認識できる」と逆方向である。残るのは2「全体的な情報の統合を手助けする」と3「直感や不意の確証の源泉になっている」。2はまとめの記述に素直に対応するが、3も人間の顔・ピアニスト・ムカデのダンスという具体例の構造(部分に意識を向けると全体が揺らぐ=無意識が全体認識を支えている)と整合する。文章1だけでは2と3の間で結論を保留する。

空欄Ⅱの確認(文章2)で決定。Kさんのまとめ二段落目に「一つに定めずに保留したまま」と明記されている。これは選択肢3「人間は定義を一つに定めることはできない」にドンピシャで対応する。Ⅱ=3と確定。選択肢の組み合わせとしてⅡが3になるのは選択肢3のみ。Ⅰも3に決まる。

  • 1.Ⅰ 統合的な認識の原因となる / Ⅱ 確定的な定義づけは不可能である
  • 2.Ⅰ 全体的な情報の統合を手助けする / Ⅱ 人間には神という概念を回収できない
  • 3.Ⅰ 全体的な情報の統合を手助けする / Ⅱ 人間は定義を一つに定めることはできない
  • 4.Ⅰ 部分的な特徴を明確にする / Ⅱ 人間が創り出した概念に回収すべきである

3が正解。

1と4は除外。2はⅡが「神という概念を回収できない」となっているが、Kさんのまとめには「一つに定めずに保留したまま」とあり、回収不可能とは書かれていない。除外。文章1では2・3が残り保留。文章2でⅡ=3が確定——Ⅱが3になる組み合わせは選択肢3しかなく、Ⅰも3に決まる。

答え 3

(イ) 条件作文 / 「暗黙」「決定」を用いた記述

Kさんのまとめの空欄に入ることばを、条件を満たして書く問題。

条件

  • ①「暗黙」という語句を書き出しとして書くこと。
  • ②「決定」という語句で文末となるように書くこと。
  • ③字数が三十字以上四十字以内となること。
  • ④【文章1】と【文章2】の内容に触れていること。

読解の手順

「暗黙」の手がかりはKさんのメモにある。メモの「明示されない領域」が「暗黙」に対応する。明示されない=暗黙のうちに、である。

「決定」の手がかりもKさんのまとめにある。「一つに定めずに保留したまま」を「意味を決定することなく」と言い換えればよい。「決定しないまま」を文末に使う。

二文章の内容を結びつける。文章1は「はっきりしないものをそのままはっきりしないものとして認識できる」こと、文章2は「一つに定めずに保留したまま思考し続けられる」こと。この二点を「暗黙」と「決定」でつなぐ。

字数の組み立て。「暗黙」で始め「決定」で終わる、三十字以上四十字以内。

解答例(38字)

暗黙のうちに概要を概要として認識し、一意に意味を決定することなく思考を続けられる

「はっきりしないものははっきりしないまま認識し、意味が明確に決定づけられなくても思考を続けることができる」という論旨を、条件の二語で組み立てる。「暗黙のうちに」で文章1の「明示されない領域」を、「決定することなく」で文章2の「一つに定めずに保留」を回収している。

キーワードをそのままKさんのまとめから転記するのではなく、条件語句と結びつけて再構成することが求められる点に注意。→ 論述文の解き方

二 方法論の検証

Kさんのまとめが答えの地図である 検証

問5の構造は「メモ≒答え」である。Kさんはメモを見ながらまとめを書いているため、まとめの中にはメモの内容が文章化されている。出題者はそのまとめの言葉を空欄にしているだけである。本文を読む前にまとめを読めば、何が問われているかが先に見える。

(ア)の論理積アプローチについて 検証

Ⅰ・Ⅱの組み合わせ問題では、文章1と文章2それぞれで有力・圏内・除外を判定し、両方で圏内に残る選択肢をとる。「文章1でほぼ確定、文章2で念押し」という二段階の絞り込みが有効で、どちらか一方の文章だけで判断しようとすると迷いが生じやすい。

(イ)の作文における注意点 検証

条件語句(「暗黙」「決定」)はまとめの言葉をそのまま転記した場合に問題となる可能性がある。キーワードと論旨の結びつけを経て自分の言葉で再構成することが、採点上の安全策でもある。字数を「三十字以上四十字以内」に収めるため、論旨を削りすぎず、しかし冗長にもしないバランスが求められる。

解説者

北川誠二

個別指導塾TOMAS現役講師・北川塾主宰・認定心理士

中学受験4教科と中学国語・数学を指導。中受算数で培った比と面積の感覚、国語・数学を同時に指導することで見えてきた「問題文読解と数学得点の直結」を解説に活かす。解法のパターン化・ルーチン化は認知科学のチャンク化・手続き記憶の概念と直結しており、認定心理士としての知見がこのアプローチの背景にある。

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