酵素ドリンクの原材料表示の見方|実例で見る原材料名表記
「原材料名の先頭が植物発酵エキスであること」――この基準だけでは、酵素ドリンクの原材料表示を正しく読むことはできません。
原材料表示は「先頭の言葉」だけでなく、括弧の中と外まで読む必要があります。
植物発酵液そのものを商品にしている場合は、糖類・野草類・果物類などが原材料名に直接表示されます。一方、植物発酵液を原料として他の素材と組み合わせた商品では、「植物発酵エキス(内訳……)」のように複合原材料として表示されます。どちらも植物発酵液由来であることに変わりはなく、違うのは表示の型だけです。
このページでは、株式会社越後薬草の「越後薬草の酵素」と、丸景の「柿酢×酵素」という2つの実物の原材料表示を比較しながら、酵素ドリンクの原材料表示の読み方を整理します。
原材料表示は「商品名・名称・原材料名」の三層でできている
食品パッケージの表示には、性質の異なる3つの欄があります。
- 商品名……ブランドとしての商品の呼び名(例:柿酢×酵素)
- 名称……食品表示法上、その食品がどのカテゴリに属するかを示す分類名(例:植物発酵液)
- 原材料名……実際に使われている原材料を、重量の多い順に列挙した欄
「名称」が同じ「植物発酵液」であっても、「原材料名」の書き方は商品ごとに異なります。この違いを生んでいるのが、単一原材料として表示するか、複合原材料として表示するかという区別です。
複合原材料とは何か──「それ自体で商品になるか」が分かれ目
ある原料が「〇〇(内訳……)」という形で表示されるのは、その原料自体が複数の原材料から作られている場合です。このような原料は、一般に複合原材料として扱われます。越後薬草の酵素のように、それ自体が植物発酵液として完成した製品を、別の商品で原料として使用する場合、丸景の柿酢×酵素では「植物発酵エキス(内訳……)」という形で表示されます。
越後薬草の酵素は、それ自体が植物発酵液の完成品として市場に流通しています。そのため、これを原料として使う別の商品では、その中身をまとめて「植物発酵エキス(糖類、野草類、果物類……)」という複合原材料として表示することになります。
この読み方を踏まえたうえで、次の章で実際の表示を見比べます。
実例で見る|越後薬草の酵素と丸景の柿酢×酵素
丸景の「柿酢×酵素」は、越後薬草の植物発酵液を原料として使用し、そこに丸景の柿酢を組み合わせた植物発酵飲料です。同じ植物発酵液を含む2つの商品の、実際の表示を比較します。
原材料名:糖類(糖蜜(国内製造)、黒砂糖、オリゴ糖)、野草類(ヨモギ、ウコン、ドクダミ、ハスの葉、高麗人参、センシンレンほか)、果物類(ウメ、キンカン、イチジクほか)、野菜類(トウガラシ、ショウガ、シイタケほか)、海藻類(コンブ、フノリ)、(一部にリンゴを含む)
原材料名:植物発酵エキス(糖類(糖蜜(国内製造)、黒砂糖、オリゴ糖)、野草類(ヨモギ、ウコン、ドクダミほか)、果物類(ウメ、キンカン、イチジクほか)、野菜類(トウガラシ、ショウガ、シイタケほか)、海藻類(コンブ、フノリ))、柿酢(柿(国産))、(一部にリンゴを含む)
2つの表示を並べると、糖類・野草類・果物類・野菜類・海藻類という内訳の構成そのものは共通しています。違うのは、越後薬草の酵素ではこれらが原材料名に直接列挙されているのに対し、柿酢×酵素ではこれらがまとめて「植物発酵エキス」という複合原材料として括られ、そのあとに柿酢が単体原料として続いている点です。
| 商品 | 名称 | 原材料表示の型 | 読み方 |
|---|---|---|---|
| 越後薬草の酵素 | 植物発酵液 | 構成原料を直接表示する型 | 植物発酵液そのものの原材料を直接表示している |
| 柿酢×酵素(丸景) | 植物発酵液 | 複合原材料+柿酢の型 | 植物発酵エキス(越後薬草の植物発酵液)に柿酢を組み合わせている |
複合原材料表示だけでは分からないこと|省略規定という抜け道
ここまで、原材料名の先頭が「植物発酵エキス」かどうかは、複合原材料と単一原材料の違いにすぎないと説明してきました。しかし、複合原材料として正しく表示されていたとしても、それだけで中身が薄められていないと言い切ることはできません。
食品表示基準では、複合原材料の内訳表示について、いくつかの合法的な省略規定が定められています。
- 複合原材料が最終製品の重量の5%未満である場合、その内訳表示自体を省略できる
- 複合原材料の名称からその原材料が明らかな場合も、内訳表示を省略できる
- 複合原材料の内訳が3種類以上あるとき、重量順位が3位以下かつ複合原材料内で5%未満のものは、個別名を出さず「その他」とまとめて表示できる
つまり、「植物発酵エキス」という複合原材料の中に、仮に水や果糖ぶどう糖液糖のような希釈材が含まれていたとしても、その重量順位や割合次第では、個別名を出さず「その他」に含めたり、内訳表示そのものを省略したりすることが、制度上は認められています。「原材料名の先頭が植物発酵エキスであること」は、こうした省略の余地がないことまでは保証していません。
丸景の柿酢×酵素の表示を見ると、糖類・野草類・果物類・野菜類・海藻類のいずれの内訳にも「その他」という省略表記は使われておらず、個別の原料名がすべて具体的に列挙されています。多くの製品ではこの省略規定によって中身が見えなくなることがありますが、丸景の表示は省略規定を使わずすべて個別名で表示しています。
丸景の柿酢×酵素の原材料構成
柿酢×酵素は、植物発酵液87%に、柿酢13%を組み合わせて作られています。原材料表示で植物発酵エキスが先頭、柿酢がそれに続く順序は、重量の多いものから先に書くという表示ルールと対応しており、植物発酵液の方が多く、柿酢の方が少ないことは表示からも読み取れます。ただし、87%・13%という具体的な配合比率までは、原材料表示からは読み取れません。
また、この植物発酵エキスには越後薬草の植物発酵液を、柿酢には一番しぼり製法による生柿酢を使用していますが、これも原材料表示だけからは読み取れない情報です。表示上確認できるのは「柿酢(柿(国産)」までであり、どこの植物発酵液を使っているか、どのようなしぼり方の柿酢かといった製法の詳細は、表示の外側にある背景情報です。
よくある質問
Q. 酵素ドリンクは原材料名の先頭が植物発酵エキスであれば良いのですか?
いいえ。それだけでは判断できません。植物発酵液そのものを商品にしている場合は、糖類・野草類・果物類などが原材料名に直接表示されます。一方、植物発酵液を原料として他の素材と組み合わせた商品では「植物発酵エキス(内訳……)」という複合原材料として表示されます。どちらも植物発酵液由来である点は同じで、表示の型が違うだけです。
Q. 原材料名の先頭が植物発酵エキスであれば、中身が薄められていないと言えますか?
言えません。食品表示基準には、複合原材料の内訳について、最終製品に占める割合が5%未満の場合の省略や、複合原材料内で重量順位3位以下かつ5%未満のものを「その他」とまとめて表示できる規定があります。これらの規定により、複合原材料の中に水や果糖ぶどう糖液糖のような希釈材が含まれていても、個別名を出さずに表示できる場合があります。「先頭が植物発酵エキスであること」は、こうした省略の余地がないことまでは保証していません。
Q. 複合原材料表示とは何ですか?
それ自体で完成した製品として成立する原材料を、別の食品の原料として使用する場合に、その名称のあとに括弧書きで内訳を重量順に記載する表示方式です。原材料名の先頭に来ているかどうかだけを見ても、その中身までは分かりません。
Q. 丸景の柿酢×酵素の原材料名はどうなっていますか?
名称は「植物発酵液」、原材料名は「植物発酵エキス(糖類、野草類、果物類、野菜類、海藻類)、柿酢(柿(国産))」です。植物発酵エキスが複合原材料として先頭に表示され、そのあとに柿酢が単体原料として続きます。配合比率は植物発酵液が87%、柿酢が13%です。
執筆・参考情報
執筆・編集:北川誠二
原材料表示提供:株式会社越後薬草/株式会社丸景