神奈川県公立高校入試 数学|統計・データの活用

神奈川県公立高校入試「統計」の傾向と対策

近年の出題で見るべきところ

箱ひげ図を読めるだけでは足りない。
限られた情報から「何が言えて、何は言えないか」を整理し、条件に合わない選択肢を早く消す力が問われています。

神奈川県の統計問題では、箱ひげ図やヒストグラムが繰り返し使われています。ただ、近年の問題を並べて見ると、単にグラフを読み取るだけの問題ではありません。

順位の情報を箱ひげ図と組み合わせる。ヒストグラムでは失われた階級内の情報を追加条件から補う。箱ひげ図から、元のデータについて「必ず言えること」と「言えるとは限らないこと」を分ける。こうした問題が増えています。

対策も、「用語を覚える」「グラフの形に慣れる」だけでは足りません。

一般的な対策と、実際の入試で必要なこと

よくある対策 近年の神奈川で必要なこと
平均値や四分位数の用語を覚える 四分位数を決めるのが「何番目の値」かをすぐ出せる
箱ひげ図やヒストグラムの読み方を覚える 資料から何が分かり、何は分からないかを区別する
典型的な間違いを覚える 条件に反する候補を理由をつけて消す
過去問の型を覚える 順位・値・人数・追加条件を組み合わせて考える

特に最近は、統計というより「順位に条件が付いた論理問題」に近い出題もあります。そのとき必要なのは、全部を計算することではありません。どの条件が強いかを見て、あり得ないものから消していくことです。

対策1 四分位数の基礎は、サイトや動画で身につける

最初に必要なのは、四分位数の求め方です。

たとえば32個のデータなら、第1四分位数は8番目と9番目、中央値は16番目と17番目、第3四分位数は24番目と25番目の値から求めます。50個なら、第1四分位数は13番目、第3四分位数は38番目の値です。

ここは、データの個数が決まれば求め方も決まります。入力が決まれば、答えを出す手順も決まる。何問か練習すれば、自分で答え合わせもしやすい部分です。

サイト・動画でできること

知識そのものは、できるだけ公開します。

「個数」「何番目か」「その値はいくつか」を分けて考えること。データが偶数の場合・奇数の場合に、どの番目から四分位数を求めるか。こうした基礎は、北川塾のサイトや動画で順次解説していきます。

四分位数の求め方だけを覚えるために、必ず塾へ通う必要があるとは考えていません。

令和7年度 本検査 問3(イ)|箱ひげ図と人数の読み取り 人数から四分位の位置を確定し、順位情報を使って値の大小を絞る問題。 令和8年度 本検査 問3(イ)|ヒストグラムと箱ひげ図 階級にまとめられた情報と追加条件を組み合わせて、箱ひげ図の候補を絞る問題。

対策2 資料にない情報を、勝手に補わない

ヒストグラムでは、データを階級にまとめた時点で、階級の中の正確な値が見えなくなります。「10以上15未満」に4人いることは分かっても、その4人がどの値を取ったかまでは分かりません。

箱ひげ図も、元のデータすべてを残しているわけではありません。最小値、第1四分位数、中央値、第3四分位数、最大値を示す一方で、それ以外のデータの多くは見えなくなります。

だから、「グラフにその値があるように見える」ことと、「実際にその値のデータが存在する」ことは同じではありません。近年は、この区別を直接使わせる問題も出ています。

対策3 強い条件から、あり得ないものを消す

選択肢がある問題では、すべての値を求める必要はありません。

最小値・最大値で消せる。四分位数の位置が合わない。中央値の条件に反する。こうした条件のうち、短時間で候補を減らせるものから見ていきます。

大切なのは、全部の条件を順番に確認することではなく、「どの条件から見ると早いか」を判断することです。答えが一つに決まったら、それ以上計算する必要もありません。

対面・オンライン授業で扱うこと

授業では、知識より「その知識をどう使ったか」を見ます。

対策2・3では、生徒本人が自分の考え方の間違いに気づきにくくなります。もっともらしい理由で間違った選択肢を残したり、必要のない計算を最後まで続けたりしても、答え合わせだけでは原因が分からないことがあります。

そこで授業では、解いている途中の判断を確認します。

「最初にどこを見た?」

「なぜその条件を先に調べた?」

「その値がある、と本当に言える?」

「ここまで分かったら、まだ計算する必要ある?」

このやり取りは、対面でもオンラインでもできます。必要なのは、先生の説明を聞くことではなく、生徒が実際に考えている途中を双方向で確認できることです。

なぜ、対策1と対策2・3を分けるのか

1

四分位数の求め方は、正誤を自分で確認しやすい

データ数が決まれば手順が決まり、計算結果が違えば間違いが表面に出ます。反復学習との相性がよい領域です。

2

資料の読み違いは、本人には正しく見えることがある

「この値の人がいるはずだ」と勝手に補っても、本人の中では筋が通っていることがあります。答えだけ直しても、同じ読み違いを繰り返します。

3

見る順番の良し悪いは、答えだけでは分からない

正解していても、全部を計算して時間を使っているかもしれません。どこから見て、いつ打ち切ったかは、解いている過程を見ないと分かりません。

知識そのものはできるだけ公開する。授業では、その知識をどう使ったかを見る。

北川塾では、サイト・動画と授業の役割をこのように分けています。

統計問題で見るのは、答えより「考えた順番」

過去問の解説を読めば、「この条件だから、この選択肢は違う」という結果は確認できます。

ただ、本番では誰も「最初にここを見なさい」と教えてくれません。どの条件から使うか。何を後回しにするか。どこまで計算したらやめるか。そこを自分で決めます。

近年の神奈川県の統計問題では、この判断の差が、そのまま解答時間と正答率の差になります。

解説者

北川誠二

個別指導塾TOMAS現役講師・北川塾主宰・認定心理士

神奈川県公立高校入試の数学を、答えまでの計算だけでなく「どこから見るか」「なぜその条件を使うか」「どこで打ち切るか」という順番から解説しています。

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