最終更新日:2026-04-03
本人主体・意思決定支援とは
Definition
本人主体とは、本人を保護の対象ではなく、意思を持つ主体として扱うことである。意思決定支援とは、本人が自ら決めることを支えるプロセスであり、第二期成年後見制度利用促進基本計画の中心的な考え方である。
何が変わったのか
成年後見制度の歴史の中で、最も大きな思想の転換がこれである。
本人の代わりに決める
判断能力が低下した本人に代わって、後見人等が決定・管理する。本人は保護される対象として位置づけられていた。
本人が決めるのを支える
本人の意思を引き出し、整理し、表明できるよう支える。本人は意思を持つ主体として位置づけられる。
本人主体とは何か
本人主体とは、認知症が進んでいても、本人には意思があるという前提に立つことである。
「もう自分では決められない人」として扱うのではなく、「まだ意思を持っている人」として関わる。その意思が見えにくくなっていたとしても、引き出す努力をやめないという姿勢が本人主体の核心である。
本人主体は、本人に全ての決定を任せることではない。判断が難しい場面に本人が一人で直面しないよう支えながら、本人の意思が実現されるよう環境を整えることである。
意思決定支援とは何か
意思決定支援とは、本人が意思を持ち、表明し、実現できるよう支えるプロセスである。具体的には以下のような関わりから成る。
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1
意思を引き出す 本人が話しやすい環境を作り、言葉や表情・行動から意思を丁寧に読み取る。
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2
情報を整理して伝える 本人が理解できる形で選択肢や状況を説明し、判断の材料を提供する。
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3
意思を表明できるよう支える 本人が自分の意思を周囲に伝えられるよう、必要に応じて代弁・翻訳する。
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4
意思が実現されるよう調整する 本人の意思に基づいた生活が実現できるよう、家族・専門職・制度をつなぐ。
なぜこれが難しいのか
認知症が進んでも、意思はゼロにはならない。しかし、意思を引き出すには専門的かつ継続的な関わりが必要である。
一度の面談で本人の意思を把握することは難しい。日常の中で継続的に関わり、本人の言葉・表情・行動のパターンを積み重ねることで、初めて「この人はこういう時にこう感じる」「こういう選択をする傾向がある」という理解が生まれる。
意思決定支援は、困ってから始めるものではない。本人がまだ自分の言葉で語れるうちから関わり始めることで、その後の支援の根拠が積み上がっていく。
誰がこれを担うのか
意思決定支援は、一人の専門職が単独で担うものではない。医療・介護・家族・福祉・司法がそれぞれの役割を持ちながら連携する中で実現される。
その連携の中で、本人の意思を軸に全体をつなぐ中核的役割を担いやすい専門職が、社会福祉士である。生活理解・家族調整・制度活用・多職種連携という複数の機能を持つ社会福祉士は、意思決定支援のプロセス全体を支える立場に最も近い。
免責事項
本ページは一般的な情報提供を目的としており、個別の事情に応じた法的・医療的・税務的助言を行うものではありません。実際の対応は、本人の状態、家族構成、財産状況、関係機関との状況等によって異なります。具体的な対応については、地域包括支援センター、医療機関、司法・福祉の専門職等にご相談ください。
意思決定支援の方法は本人の状態や環境によって異なります。実際の支援は専門職と連携して行うことが望まれます。
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