最終更新日:2026-04-03

成年後見制度の変遷

制度は作られただけでは機能しない。使われ方の思想が変わることで、制度は初めて本人の役に立つものになる。成年後見制度は2000年の発足から今日まで、その思想を大きく深化させてきた。

三段階の変遷

2000 発足
発足期

法的保護を中心に制度設計された

認知症・知的障害・精神障害などにより判断能力が低下した人を、不利益な契約や財産侵害から守ることを主な目的として制度が始まった。本人を「保護される対象」として位置づけ、後見人が代わりに判断・管理する仕組みが中心だった。

管理・保護が中心
2017 第一期計画
第一期利用促進基本計画(2017〜2021年)

制度を使えるようにする

成年後見制度の利用者数が伸び悩む中、国として制度の普及・利用促進を図るための基本計画が策定された。地域包括支援センターや市町村との連携強化、相談窓口の整備が進められた。ただし、制度の運用思想はまだ「制度を使ってもらう」ことに重点が置かれていた。

制度の普及・利用促進
2022 第二期計画
第二期利用促進基本計画(2022〜2026年)

管理から支援へ。本人は意思を持つ主体

制度の思想が大きく転換した。本人を「保護の対象」から「意思を持つ主体」として捉え直し、後見人等の役割も「管理・代行」から「意思決定支援・権利擁護」へと再定義された。厚生労働省も「尊厳のある本人らしい生活を継続するための成年後見制度の運用改善」を掲げており、本人の意思・希望・生活の質を最大限に尊重することが、制度運用の中心に置かれた。

意思決定支援・権利擁護が中心

三段階を貫く問い

発足から第二期計画まで、制度が変わり続けた背景には一つの問いがある。

本人の意思と生活の質は、誰がどう守るのか。

この問いに対する答えが、時代とともに深化してきた。発足時は「法的保護」、第一期は「制度の普及」、そして第二期は「意思決定支援と権利擁護」へ。

制度の骨格——補助・保佐・後見の三区分——は発足時から変わっていない。変わったのは、その制度をどう使うか、誰のために使うか、という思想である。

第二期計画が意味すること

第二期計画(2022〜2026年)は、厚生労働省が主導する利用促進の計画である。この計画が示す最も重要な転換は、「本人主体」という考え方の徹底である。

本人が認知症になっても、意思はゼロにはならない。まだ話せるうちから関わり、本人の価値観・判断基準・生活観を知ることが、その後の支援の質を決める。第二期計画はこの考え方を制度運用の中心に据えた。

この転換により、制度に関わる専門職に求められる役割も変わった。法的処理や財産管理だけでなく、本人の声を引き出し、家族と調整し、多職種をつなぐ役割が重視されるようになった。

第二期計画が掲げる「本人主体」とは何か、「意思決定支援」とはどういう考え方なのか——次のページで詳しく整理する。

→ 本人主体・意思決定支援とはを読む

免責事項

本ページは一般的な情報提供を目的としており、個別の事情に応じた法的・医療的・税務的助言を行うものではありません。実際の対応は、本人の状態、家族構成、財産状況、関係機関との状況等によって異なります。具体的な対応については、地域包括支援センター、医療機関、司法・福祉の専門職等にご相談ください。

制度の説明は一般的な整理であり、個別事例への適用は状況により異なります。