令和7年度 共通選抜 追検査|神奈川県公立高校入試 数学

補助線はなぜ思いつくのか|問3(ウ)

「数学の補助線は、なぜ思いつくのか」「補助線の引き方が分からない」と感じるのは、完成した線だけを見せられ、引く直前の判断が省略されているからである。

補助線は、都合よく思いつくものではない。図の条件に反応し、必要な形を作るために引く。

この問題では、直角のある台形と辺の比 AD:BC=1:2 を見た時点で、AからBCへ垂線を下ろす。すると正方形と、同じ比を持つ直角三角形が一気に現れる。

令和7年度追検査 問3(ウ)の補助線図。台形ABCDに補助線AHとCM、点M・F・G、各長さや比の注記が入った図。

ユーザー提供図。AHを引いて正方形AHCDを見抜き、M・F・Dの比とCMを使って面積を処理する。

解説

発火連鎖

直角のある台形 → AからBCへ垂線AHを下ろし、長方形を作る
AD:BC=1:2、AD=CD → AH=HC=CD=ADとなり、AHCDは正方形
1:2:√5の直角三角形が連続して見える → 長さと分割比を一気に確定する
MF:FD=1:4 → CとMを結び、正方形の半分を面積比で分ける
① 正方形 AからBCへ垂線AHを下ろし、AHとBDの交点をMとする。AD∥BC、∠BCD=90°よりAHCDは長方形である。さらにAD=CDなので、AHCDは正方形である。
② 相似 △CBDと△FDAは、ともに辺の比が 1:2:√5 の直角三角形である。また、△FDA∽△ADMより、FM:FA:FD=1:2:4。AF=2cmなので、FM=1cm、FD=4cmとなる。
③ 正方形の面積 △FDAは1:2:√5の三角形で、AF=2cmより、AD=2√5cm。したがって正方形AHCDの面積は (2√5)2=20cm2 である。
④ △CDF CとMを結ぶ。△CMDは正方形AHCDの半分なので、面積は10cm²。M、F、Dは一直線上にあり、MF:FD=1:4だから、△CDF=10×4/5=8cm2 となる。
⑤ FG:GC △HAEも1:2:√5の直角三角形なので、AE=5cm。AF=2cmよりFE=3cmである。AE⊥BDより、△FDE=3×4÷2=6cm2。また、△CDEは正方形の4分の1なので5cm²。△FDEと△CDEは共通の底辺DEを持ち、F、G、Cが一直線上にあるため、高さの比はFG:GCに等しい。よって、FG:GC=6:5 である。
⑥ 求める面積 △DFGと△DGCは、頂点Dから直線FCへの高さが共通なので面積比はFG:GC=6:5。したがって、△DFG=8×6/11=48/11cm2 となる。

補助線はなぜ見えるのか

補助線を見たとき、「なぜそんな都合のよい線を思いつくのか」と疑問を持ったことはないだろうか。成績上位者は、偶然ひらめいているのではない。条件に対して、次のような順番で反応している。

CMを引ける理由

CMは、最後に突然思いつく補助線ではない。MF:FDが分かると判断した時点で、MとDを底辺として持つ三角形を作れば面積比が使えると分かる。

さらにCとMを結べば、△CMDが正方形の半分になる。つまり、MF:FD=1:4が見えた瞬間に、CMはほぼ自動的に決まる。

答え 48/11cm2 (う=4、え=8、お=1、か=1)

補助線についてよくある疑問

数学の補助線は、なぜ思いつくのですか?

ひらめきではなく、条件に対する反応です。直角のある台形なら垂線を下ろす、辺の比が1:2なら正方形や1:2:√5の直角三角形を疑う、分割比が分かれば面積比を使える三角形を作る、という順に考えます。

補助線の引き方が分からないのはなぜですか?

線の位置だけを覚えようとしているからです。覚えるべきなのは「どの条件を見て」「何を作ろうとして」「その線を引いたか」という発火条件です。

この問題でCMの補助線が見える理由は?

MF:FD=1:4と分かった時点で、MとDを底辺上に持つ三角形を作れば面積比が使えると判断できるからです。CとMを結ぶと△CMDが正方形の半分になり、△CDFの面積がすぐに求まります。

解説者

北川誠二

個別指導塾TOMAS現役講師・北川塾主宰・認定心理士

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