令和7年度の問4は、青砥左衛門の「道理を通す」という判断軸を、二つの話にわたって追う問題です。
とくに(イ)では、公平な裁判が結果として相模守の立場も守ったことと、公文から謝礼を受ける筋合いがないことをつなぎます。(ア)で分かった人物像を捨てず、選択肢の理由まで本文と照合する。これが、この年度の大切な読み方です。
令和7年度 共通選抜 本検査|神奈川県公立高校入試 国語
身分や損得ではなく「道理」。二つの話を通じて、青砥左衛門の判断軸を追う。
「誰が」「何を」「なぜ」を分け、選択肢の違う箇所を本文と照合します。表の太字は本文と合わない部分、緑色の行は正解です。
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→ 物語文(文学的な文章)の解き方
他の者は徳宗領であることに遠慮し、公文を負けとしました。青砥左衛門は権門を恐れず、主張の道理を認めて相模守を負けとします。
| 他の者の判断 | 理由 | 青砥左衛門の判断 | 理由 | |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 相模守の勝ち | 公文の地位が低い | 相模守の負け | 公文の人柄の良さ |
| 2 | 相模守の勝ち | 徳宗領であることへの遠慮 | 相模守の負け | 公文の主張の正当性 |
| 3 | 相模守の勝ち | 気を遣う | 相模守の負け | 公文への同情 |
| 4 | 相模守の勝ち | 公文が主張できない | 相模守の負け | 公文の立場を認めた |
| 本文 | 公文を負かした | 徳宗領に憚って | 相模守を負かした | 権門にも恐れず、理の当たるところを見て申し立てた |
答え 2
この年度で最も正答率が低い問題です。(ア)で確認した「身分にかかわらず道理に従う人」という人物像を、ここでも保持して読みます。
| 贈り主についての説明 | 受け取らなかった理由 | |
|---|---|---|
| 1 | 公文からの贈り物 | 不公平な判決をした事実が相模守に知られるのを恐れた |
| 2 | 相模守の悪評が広まったことを喜んで贈った | 公文を自己中心的で浅はかな人間だと思った |
| 3 | 領地を手に入れた公文 | 敗訴して悲しい思いをした相模守に贈るべきだと思った |
| 4 | 勝訴した公文 | 公平な裁判によって相模守の立場も保たれたので、公文が金銭を贈るのは道理に合わない |
| 本文 | 公文が恩を報いようとした | 「上の御悪名を申し留めぬれば、相模殿こそ喜びをばしたまふべけれ」「公文が引き出物をすべき様なし」 |
青砥左衛門は、公文を助けようとして相模守を負けさせたのではありません。身分にかかわらず、公平公正に道理に従って裁いたのです。その結果、相模守に不利な判決になりましたが、同時に、相模守が道理に反して領地を得たという悪評を受けることも防ぎました。
本文の「沙汰の理非を申しつるは、相模殿を思ひ奉る故なり」は、その判決が相模守のためにもなったことを、公文に説明する言葉です。公文を勝たせたことへの個人的な恩返しとして、金銭を受け取る筋合いはありません。
「相模殿こそ喜びをばしたまふべけれ」は、悪名を負わずに済んだ相模守こそ、この判決を喜んでよいという意味です。敗訴した相模守がかわいそうだから、公文が相模守に金銭を贈るべきだ、と言っているのではありません。
③は「相模守」「贈り物」などの語が本文にあっても、誰が誰に、何のために贈るのかを取り違えています。語の一致だけで判断せず、関係をつなげます。
(ア)の正答率70.1%に対し、(イ)は51.6%です。人物像を読み取ることに加え、それを次の場面でも使い、判決の結果と謝礼を断る理由をつなぐことが、この問題の要点です。なお、正答率だけでは、どの誤答に多くの受験生が引かれたかまでは分かりません。
答え 4
ここでは、周囲の人が「小利大損」と笑った理由を答えます。青砥左衛門自身の反論と混ぜず、まず十文と五十文を比較します。
| 損になる理由 | |
|---|---|
| 1 | 松明の数が少なすぎるため、銭を探すのに大きな損になる |
| 2 | 十文で買えるはずの松明を五十文で買ったため、支払いが大きな損になる |
| 3 | 落とした金額より高い金を払って、落とした銭を探した |
| 4 | 店に対する迷惑の大きさを考えると、大きな損になる |
| 本文 | 「十文の銭を求めんとて、五十にて松明を買ふ」 |
答え 3
前半では権力者への遠慮より道理を優先し、後半では自分だけの損得より世の中全体の利益を考えています。選択肢の人物評価だけでなく、具体的な出来事に余計な情報がないかを確認します。
| 内容の要点 | 本文との照合 | |
|---|---|---|
| 1 | 権力者を恐れず、自分の損得にとらわれず筋を通す | 二つの話に共通する人物像と一致 |
| 2 | 不利な立場の人物を大切にし、家来と一緒に銭を探す | 「銭を落とした家来」は本文にない。落としたのは青砥左衛門 |
| 3 | 道理に合わない意見に反論し、諦めずに銭を探す | 「日中から夜にかけて」探し続けたのではない。夜に退出して銭を落とした |
| 4 | 広く思いやりがあり、自分と関わる人の利益を優先する | 「大多数が賛同した考えを受け入れた」は、権門を恐れず道理を述べた本文と合わない |
答え 1
令和7年度の問4は、青砥左衛門の「道理を通す」という判断軸を、二つの話にわたって追う問題です。
とくに(イ)では、公平な裁判が結果として相模守の立場も守ったことと、公文から謝礼を受ける筋合いがないことをつなぎます。(ア)で分かった人物像を捨てず、選択肢の理由まで本文と照合する。これが、この年度の大切な読み方です。