令和6年度の問4は、選択肢だけを見ると本文にない要素を比較的見つけやすい問題です。それでも正答率は39.5~56.9%にとどまりました。
差がついたのは、古文単語の暗記量だけではなく、人物関係・立場・行動の目的・最後の認識変化を正しくつなげられたかどうかです。
古文も日本語です。単語を一点で訳すのではなく、前後の文脈で意味を決め、選択肢を論点ごとに分けて本文と照合します。
令和6年度 共通選抜 本検査|神奈川県公立高校入試 国語
「涙=悲しい」に飛びつかない。人物の立場・行動の目的・物語の最後の認識変化まで追う。
いきなり正誤を判断せず、「何について」「どう言っているか」を選択肢ごとに分けます。
そのうえで、差が出る箇所だけ本文に戻ります。
→ 動画で見る|選択肢をどう分析するか
→ 物語文(文学的な文章)の解き方
「ここに至りては理非顕然に候ふ。未断の条術なきことに候ふなり。」までで、顕季は「どちらが正しいかは明らかで、裁決しない理由はない」と考えています。
| 領地の件 | 白河法皇の態度 | 顕季の気持ち | |
|---|---|---|---|
| 1 | 正否はわかりきっている | はっきり判断してもらえない | 不満 |
| 2 | 義光の言いがかり | 厳しい罰を加えようとしない | 情けない |
| 3 | 「義光」に利なしと判断 | 何度も説明を求められる | 煩わしい |
| 4 | 義光とともに意見を求めている | 相談に応じない | 失望 |
| 本文 | 理非顕然 | 未断の条術なきことに候ふなり | 御成敗なし。匠作心中に恨みたてまつる |
答え 1
この年度で最も正答率が低い問題です。顕季は、自分の正当性を主張し続けたい。しかし白河法皇は、義光が武士であることを踏まえ、最終的には領地を手放すよう勧めます。
| 顕季 | 白河法皇の判断 | 「零涙」の意味 | |
|---|---|---|---|
| 1 | 正当性を主張し続けたい | 顕季の怒りを買ってしまい、やり切れない | 悲しみ |
| 2 | 正当性は認められている | 武士である義光との争いを避け、領地を手放すよう勧める | 恐れ多く思う |
| 3 | 自分の主張を認めてもらえない | 義光を哀れんでいる | 悲しみ |
| 4 | 領地を奪われた | 義光を恐れて顕季を裏切った | 悲しみ |
| 本文 | 不便に侍れば、避りたてまつらんと思ふなり | 道理に任せて裁許せしむれば、子細をわきまへずして、武士もしこは腹黒なども出来せんずらん | 匠作零涙に及びて |
白河法皇は顕季の正当性自体を否定していません。そのうえで、武士である義光との衝突を避けるために譲歩を勧めています。顕季はその意向に畏れ入り、涙を流したと読むのが自然です。
答え 2
顕季が夜、一人で退出すると、甲冑を帯びた武士が車の前後にいました。ここで重要なのは「武士がいた」という事実だけでなく、何のためにいたのかです。
| 義光の受け止め | 顕季に対して | 行動 | |
|---|---|---|---|
| 1 | 譲ってくれたことに歓喜 | 家来まで手薄になったと考え | 警護させた |
| 2 | 気を良くし、威勢を誇示 | ― | 武士を登場させた |
| 3 | 顕季に同情 | ― | 恩に報いる機会を探らせた |
| 4 | 譲ってくれたことに感謝 | ― | 部下に見守らせ、送りをさせた |
| 本文 | 義光喜悦の色あり | ― | 御送りのために似てたてまつるところなり |
答え 4
後半だけを見ると、義光が顕季を護衛したことから「義光は義理堅い人物だった」とまとめたくなります。しかし、結末で顕季が感心している対象は義光そのものではありません。
| 選択肢の中心 | 本文とのずれ | |
|---|---|---|
| 1 | 義光は領地に執着する一方、武士として忠義を貫く | 「家来として誠実に尽くす姿を見た」など、本文にない評価を加える |
| 2 | 顕季は白河法皇の裁決に納得し、義光には武士として領地を守る性質のほか、他者の命を重んじる一面もあると知った | 「他者の命を重んじる」「裁決に納得した」を足している |
| 3 | 顕季は領地を手放した後、義光の武士としての側面を実感し、白河法皇の配慮の的確さに感服した | 本文末の認識変化と一致 |
| 4 | 義光は領地に対する強い思いを持つ人物で、顕季から与えられた領地を命がけで守ろうとする様子を見た白河法皇が褒めたたえた | 白河法皇がその場で義光を褒めた記述はない |
| 本文 | 「ここに心中に御計らひのやむごとなきを思惟す。」 | |
答え 3
令和6年度の問4は、選択肢だけを見ると本文にない要素を比較的見つけやすい問題です。それでも正答率は39.5~56.9%にとどまりました。
差がついたのは、古文単語の暗記量だけではなく、人物関係・立場・行動の目的・最後の認識変化を正しくつなげられたかどうかです。
古文も日本語です。単語を一点で訳すのではなく、前後の文脈で意味を決め、選択肢を論点ごとに分けて本文と照合します。