東洋思想には、日々の暮らしを整えながら健康を保ち、できるだけ病気にならないようにしていく「養生」という考え方があります。「養生」は健康のために何か特別なことをするのではなく、日々の生活そのものです。
体を「直す」よりも、乱れにくい状態を保つことを大切にする思想です。
ダイエットもファスティングも、本来はこの「養生」の延長線上で捉えることができます。
体という「田んぼ」を整えることに例えるなら──
ダイエット = 原野や森林を切り開く「開拓」
ファスティング = 水害や地震で壊れた時の「重機による畔づくり」
16時間断食(16:8) = 一日中、草むしりを続ける「ハードな手入れ」
12時間の休息 = 涼しい時間に少しだけ行う「日々の手入れ」
今のあなたの状態に合わせて、最適なお手入れを選びましょう。
■ 原野を切り開く「開拓」:ダイエットのアプローチ
すでに体重が増えてしまっている状態は、草木が茂りすぎた原野。まずは開拓が必要です。医師や管理栄養士と相談し、毎日の食事と生活リズムを見直しながら、体に無理のないペースで整えていく方法です。
- 何を、どれくらい、どんなリズムで食べるか
- クエン酸サイクルを再活性化し、燃える土壌を作る
- 運動や睡眠など生活習慣を整える
こうした継続的な開拓作業が、からだの土台を守る力につながっていきます。
そして、開拓(減量)が終われば、二度と荒れないように「12時間の休養」の日々の手入れへ移行しましょう。
■ 重機を入れて修繕する:ファスティングのアプローチ
緊急事態には、重機を入れて一気に畔(あぜ)を作り直すような集中対応が必要です。ただし、これらは「日常」ではなく「特別な処置」であることを忘れてはいけません。
- 消化器官に強い負荷変化を与える
- エネルギー不足の状態を意図的につくる
ファスティングは 地震や水害で崩れた場所を修理する大掛かりな作業です。大きな変化をもたらす反面、負荷も大きいため、必ず医師や管理栄養士などプロフェッショナルの支援が必要です。
→ファスティングのアプローチ詳細へ■ 頑張る日々の手入れ:16時間断食
【16:8(16時間断食)】
最近よく目にする「16時間断食(16:8)」は、ファスティングほど極端ではありませんが、
日常の中では負荷がやや強めです。
例えるなら「一日中草むしりを続けている」ような状態です。
毎日続けられる人もいますが、
- 忙しい
- 体力に余裕がない
- トレスが多い
こうした状況は、体力や年齢によっては、整えるつもりが逆に疲弊を招くこともあります。
■ まさに日常:12時間の休息
12時間の休息は、「軽めの断食」ではありません。特別な健康法を新しく始めることではなく、毎日きちんと休む時間を作ることです。
例えるなら、日中の暑さを避け、朝夕の涼しい時間に行う草取りのように、無理なく一生続けられる「日々の手入れ」です。
- 夜の12時間: 胃腸を休ませ、自浄作用(MMC)を働かせる
- 朝晩の調整: 淡々と
最新の時間栄養学の視点でも、 夜の食事を早めに終え、 胃腸を休める時間を確保することは、 代謝を安定させるうえで重要だと考えられています。
理想とされるのは14時間の食事休止ですが、 現代の生活リズムでは難しい場合も少なくありません。 そのため、まずは12時間の休息を確保するだけでも、 体内時計を整えるという点で 十分に意味があるとされています。
特別な修行にするのではなく、体のリズムを乱さないための「日常的な配慮」。
この穏やかなリズムを土台にすることが、無理のない出発点であり、ゴールでもあります。
■ 安心して取り組むためのお願い(安全性の明記)
開拓(ダイエット)も修繕(ファスティング)も、体質や生活環境によって向き・不向きがあります。
- ダイエット:極端な食事制限は、庭を枯らす原因になる場合があります。
- ファスティング:意図的なエネルギー不足を作るため、体調や持病によっては大きな負担になります。
体を大切にするための取り組みなのに、体調を崩してしまっては本末転倒です。
無理のない範囲で、医師や管理栄養士などの専門家に相談しながら進めてください。
■ 本章のおわりに
「養生」という言葉は少し古く感じられるかもしれません。
しかしその根底にあるのは、
体・心・生活をひとつのものとして大切に育むという、
日本に長く受け継がれてきた知恵。
特別なときも、日常も、
静かにあなたの暮らしに寄り添ってくれる考え方です。
第2章
ダイエット中の停滞期はなぜ起こるのか?
代謝がカギになる理由
ダイエットを始めてしばらくは順調だったのに、ある日からピタッと体重が動かなくなる——。多くの人が経験するのが、この 「停滞期」 です。
■ 停滞期の原因は意志ではなく代謝
体重が落ちなくなると不安になりますが、これは努力不足や失敗ではありません。多くの場合、鍵を握っているのは代謝です。
代謝の状態が整っていれば停滞期は自然と抜けられますが、食事を減らしすぎたり、偏ったり、無理な運動を続けたりすると、体は守りに入り、さらに代謝を下げてしまいます。
つまり──「もっと頑張ろう」「もっと食べる量を減らそう」と追い込むほど、やせにくい代謝パターンとなりリバウンドを招きやすくなるのです。
さらに、代謝の状態は年齢やホルモンバランス、その時々の体調や生活リズムの影響も受けます。 自分ではコントロールしにくい要因が重なることで、 停滞期が長く感じられることも少なくありません。
だからこそ、体重だけに目を向けるのではなく、 食事や生活習慣を通して体全体の状態を整えていくことが、 無理なく停滞期を抜け出すための近道になります。
→代謝を落とさない食生活のルール■ 体は省エネモードに切り替わるようにできている
食事量が減ったり運動量が増えたりすると、体は「これ以上エネルギーを失わないように」自動で調整を始めます。これがホメオスタシス(恒常性維持機能)です。
- 消費エネルギーが減る
- 体温が少し下がる
- 疲れやすくなる
- 以前と同じ生活でも体重が落ちない
まるで“冬眠モード”に入るように、代謝は静かにスローダウンしていきます。
■ わずかな筋肉量の低下でも代謝は落ちる
筋肉は体の中でもっとも熱を生む組織です。食事制限が強すぎたり、極端な糖質制限やたんぱく質不足により、
- 体の筋肉をエネルギー源に使ってしまった結果、筋肉が分解
- ごくわずかな筋肉量の減少
これだけで代謝が大きく下がり、停滞期が長引きます。特に「体重は減らないのに疲れやすい・冷えやすい」というサインがある人は要注意です。
■ 内臓の疲れも代謝を下げる要因に
胃腸や肝臓が弱っていると、燃やすための栄養さえ消化吸収されにくく、食べたものをエネルギーに変換する力が落ちます。
- 胃もたれしやすい
- 消化に時間がかかる
- 朝すっきり起きられない
こうした状態が続くと、代謝そのものが動きにくい体になり、停滞しやすくなります。
■ 停滞期とは代謝が一時的にブレーキをかけた状態
停滞期とは、体が命を守るために省エネモードへ切り替わった自然な反応です。決してダイエットの失敗ではなく、むしろ体が変化する過程で必ず通る通過点のようなものです。
だからこそ、停滞期を抜けるためには「もっと減らす」「もっと頑張る」ではなく、代謝が再び動き出す環境を整えることが重要です。
✔ 次章の予告
次の章では、毎日の食事や生活リズムの中でできる、代謝を落とさないための食生活のルールについて具体的にお話しします。
→代謝を落とさないための発酵飲料の選び方(クーポン情報付き)
第3章
代謝を落とさない食生活のルール
今日から無理なく取り入れられる実践法
健康的に痩せるために、そしてダイエットの停滞期から抜け出すために大切なのは、 代謝を落とさないこと。 そのためには、食事量だけでなく、質や食事をする時間帯にも目を向け、 体がエネルギーを使いやすい状態へ整えていく意識が必要です。 ここでは、今日から無理なく取り入れられる、 “代謝を味方につける食生活の整え方”を紹介します。
■ ① 毎食たんぱく質をとる — 筋肉を守ることが代謝の土台
筋肉は体内で最も多くエネルギーを消費する組織。たんぱく質が不足すると筋肉量が落ち、基礎代謝が低下します。
取り入れやすい食品:卵、納豆、肉(豚、鶏、牛)、魚、ヨーグルト、きな粉、チーズなど。
「夜だけ多く」ではなく、朝・昼・夜で均等にたんぱく質を摂ることで、消化力が弱くても、効率的に吸収することができ、消化が代謝の土台づくりにつながります。
■ ② 極端な糖質制限やカロリー制限をしない
糖質は代謝のエンジン燃料なので、食事を減らしすぎると体は「飢餓」を察知して省エネモード(代謝低下)に切り替わります。
ほかにも糖質には、余分な脂肪をもやすための燃料や筋肉を守る働きがあります。
- 糖質ゼロ
- 脂質ゼロ
- 置き換えだけの長期ダイエット
こういった方法は筋肉量の減少 → 代謝低下 → 停滞期の長期化という悪循環につながりがちです。適度な糖質・脂質・たんぱく質をバランスよく摂ることが、代謝を安定させ、メンタルを安定させるさせる第一歩です。
■ ③ 極端な糖質制限の問題点 ― その2(クエン酸サイクルが鈍くなる)
ダイエットやファスティングで代謝が落ちる原因は、必ずしも「飢餓モード」だけではありません。
私たちがエネルギーを生み出すためには、細胞内のミトコンドリアで行われるクエン酸サイクルが滑らかに回り続ける必要があります。
この回路を維持するためには、
- オキサロ酢酸(OAA)を補うための少量の糖
- アセチルCoAの入口となる酢酸
- 補酵素を含む補因子として働くミネラル(マグネシウム、鉄など)、ビタミンB群
が欠かせません。
糖質を極端に制限すると、ピルビン酸が不足し、オキサロ酢酸の補充が追いつかなくなります。その結果、
糖不足 → オキサロ酢酸不足 → クエン酸サイクルの回転低下 → エネルギー代謝の低下
ここで重要なのは、「食べ過ぎていないのに痩せない」のは、「努力が足りない」といった問題ではなく、代謝の問題という点です。
目指すべきなのは、代謝を落とさずに回し続けるための設計です。極端な制限ではなく、糖・酢酸・ミネラルをバランスよく保つことが重要になります。
■ ④ ビタミン・ミネラルを偏らず摂る — 代謝のスイッチ役
代謝の働きには、補酵素・補因子が不可欠です。特にマグネシウムやカリウム、鉄などは、ミトコンドリアで行われるエネルギー代謝の過程を支える役割を担っています。
ダイエットやファスティング中はミネラルが不足しやすいため、代謝がきちんと働ける環境を保つという視点が大切です。
おすすめ食材:緑黄色野菜、海藻・きのこ、魚介類など。
■ ⑤ 水分をしっかり摂る — 代謝は流れの上に成り立っている
代謝反応は水を介して行われるため、水分不足は血流の滞りにつながります。目安:1〜1.5L/日。
■ ⑥ 食べ方を整える — 消化の負担を軽くし、代謝が働ける状態をつくる
「何を食べるか」だけでなく、どう食べるかも代謝に大きく影響します。
- 一口20〜30回よく噛む
- 冷たいものより温かいものを選ぶ
- 夜は腹八分目を心がける
胃腸の疲れのサイン:食後の強い眠気、朝に空腹を感じない、胃もたれ、便の不安定、おならが臭い、おなかが張る、など。
胃腸を休める工夫:
- 温かい飲み物を取り入れる
- 夜遅い食事を避ける
- 睡眠不足・ストレスを溜めない
- 発酵食品を日常に少しずつ取り入れる
極端な食事制限や自己流の断食は、代謝低下や体調不良を招く可能性があります。体調に不安のある方は、医師・管理栄養士に相談しながら無理のない範囲で取り組みましょう。
■ ⑦ 食べる時間帯を考える — いつ食べるかで、体への負担は変わります
時間栄養学の観点では、 一日の始まりに代謝のリズムを整えることが とても重要だと考えられています。
今も昔も変わらず、 午前中の活動を無理なく支えるためには、 朝食をとることが基本になります。
まとめ — 代謝を落とさないための整える習慣
これらはどれか一つが欠けただけでも、クエン酸サイクルの回りは鈍くなります。日々の食事と習慣を通して「代謝を落とさない状態を整える」という視点が大切なのです。
番外編~回復~
やりすぎた人のための回復ロードマップ
代謝が休止したと感じたときの再開手順
🚨 極端な制限後の体調不良を感じたら
極端な糖質制限や長期のファスティングを続けたあと、「体が重い」「痩せなくなった」「冷えやすい」と感じる場合、それは意志の問題ではなく、代謝の回路が休んでいるサインかもしれません。
こうした状態のときは、自己判断せず、まず医師や管理栄養士などの専門家に相談することをおすすめします。専門家と一緒に「これからどう回復していくか」というロードマップを作っていくことが大切です。
回復に必要なのは、再び頑張ることではなく、順序立てて整え直すことです。
第4章
発酵と代謝の関係
“整える力”が育つと、体は軽くなる
もうひとつ大切な視点。それは、“体が食べたものを上手に扱える状態かどうか”。この「扱う力」を静かに支えてきたのが、日本に根づく 発酵の食文化 です。
■ 発酵は体に負担をかけない食文化
味噌、醤油、納豆、漬物、酢。発酵の過程で食材はゆっくりと変化し、風味、吸収のしやすさ、胃腸へのやさしさを生みます。
■ 発酵食品が代謝の土台を支える理由
直接代謝を上げるわけではありませんが、胃腸がラクになり、朝のリズムが整うなどの実感につながります。代謝は“流れ”であり、その最初のステップは胃腸です。
■ 具体的にどう取り入れればいい?
- 朝:温かい味噌汁を一杯
- 昼:納豆を一品添える
- 夜:ヨーグルトや発酵乳製品を少量
「少しずつ・毎日」 がいちばん体に馴染みます。
■ 量とのバランスも大切
塩分が多いものもあるため、量を意識して無理なく続けられる形にすることが大切です。
■ 発酵飲料は整える時間をつくる選択肢
噛む必要がなく、量の調整もしやすいため、生活のリズムにそっと寄り添う存在として取り入れられます。
まとめ:発酵は体のリズムを調える存在
焦りや不安が生まれたときこそ、減らすより整える、我慢より調和という発酵文化の視点があなたの体にやさしく働いてくれます。
第5章
ファスティングは“減らす”ではなく“整える”
発酵とのやさしい相性
■ 食事の「間隔」と「時間帯」を整えるという考え方
食事を「控える」ことが目的なのではありません。
食事の間隔と、食べる時間帯を整えることが、
体を無理なく立て直すための出発点になります。
食事の間隔を整える方法には、いくつかの考え方があります。
さらに近年は、「いつ食べるか」という時間帯も、
代謝や体内リズムに大きく関わることが分かってきました。
ただし、方法によって 体への負荷や、続けやすさには大きな違いがあります。
まずは、
「どれくらい空けるのか」
「一日のどの時間に食べるのか」
この2つの視点から、その違いを整理してみましょう。
●16時間を超える断食
16時間を大きく超える長時間の断食は、体への負荷も小さくありません。
自己判断で行うのではなく、かかりつけ医や管理栄養士など専門家と相談のうえ検討することが望まれます。
体調や既往歴、服薬状況によっては適さない場合もあります。
少なくとも、インターネット上の情報だけを頼りに始めることはおすすめできません。
強い方法ほど、慎重に。
●16時間断食(16:8)|空腹時間が長い方法
■16時間断食とオートファジー
16時間断食に興味を持たれた背景には、 オートファジーという仕組みが、 古くなったタンパク質や壊れた細胞内の構造物を整理・再利用する 働きに注目が集まっていることがあると思います。
オートファジーは、体の状態を安定させようとする ホメオスタシスの働きのひとつで、 食事を終えてから時間がたつにつれて、 およそ10時間前後から徐々に働き始めるとされています。
■16:8は合う人には合う
しかし、うまくいかないケースも少なくありません。
うまくいく条件には、
- 生活リズムが安定している
- 睡眠がしっかり取れている
- ストレスが比較的少ない
などがあり、条件さえそろえばうまく回ることもある方法です。
一方で、管理栄養士などの実際の現場では、 体に無理がきたり、つらくなって続かなくなるケースも多く見られます。
とくに多いのが、「12時〜20時に食べるタイプ」で、逆に、相談に来られる方の中で 比較的うまく回っているケースでは、 朝食をしっかりとっている方が多い傾向があります。
■朝食を抜いて活動する16:8が、難しくなりやすい理由
人の体は、朝から昼にかけて 体温が上がり、 集中力が高まり、 活動モードに入っていきます。
この時間帯に、何も食べずに仕事や家事を続けると、 体は、守るための反応(ストレス反応)を優先しやすくなります。
また、脳の唯一の栄養源である糖が不足することや、 活動力の源となるクエン酸サイクルがうまく回らなくなるといった影響も起こり得ます。
その結果、
- 強い空腹感
- イライラ
- 反動の食欲
といった形で、「思っていた16:8と違う」と感じる方が出てきます。
これは、 意志が弱いからではありません。 体のリズムと合っていないだけという場合が多いのです。
■時間栄養学
最近注目を集めているものに、時間栄養学があり、 そこで大切なのは「何時間空けるか」より「いつ空けるか」と語られています。
食事の間隔については、 専門家のあいだでも、 体内時計(サーカディアンリズム)の観点から語られることがあります。
その文脈でよく出てくるのが、 「食事の時間を12時間以内におさめる」という考え方です。
これは、「断食をがんばる」という話ではなく、 生活の中で健康に気を配るという発想。
管理栄養士会の研修で話が出たり、 管理栄養士現場で実践されているということを よく耳にするようになりました。
その際に、 午後7時ごろまでに食事を終わらせ、 翌日の7時ごろには必ず朝食をとるというサイクルで 行われています。
管理栄養士の現場では、 こうした考え方がどのように捉えられているのか。 実際の対談をこちらに全文掲載しています。
■16時間断食は「選択肢のひとつ」
16時間断食は肯定的な意見も多くみられます。 しかし、午後4時に食事をするのは現実的ではないため、 現実的な対応として、12時と午後8時という選択肢になり、 それをすると体調を崩す人も多いというのも、 現場から報告されています。
成功するには、 やはり専門家に意見を聞きながら始めるのがいいでしょう。
一方、「食事の時間を12時間以内におさめる」という方法は、 取り入れやすい時間に朝食、昼食、夕食を摂ることができます。
そんな段階的な考え方も、 安心できる選択のひとつです。
■方法よりも、「始め方」と「終え方」
16:8に限らず、食事の間隔を整える方法では、 食事をする時間帯とともに 最初の一口をどう迎えるかが 大きな意味を持ちます。
いきなり固形物を入れて胃を強く刺激しないこと。 そして、食事の“立ち上がり”を急にしないという視点。
空腹のあとに吸収の速いものを急に取り入れると、 血糖値が大きく変動し、 体が驚いてしまうことがあります。 食後の強い眠気やだるさとして 感じる方もいるかもしれません。
こうした「立ち上がり」への視点は、 あまり語られることのない部分かもしれません。
明けの迎え方によって、 その後の過ごしやすさが変わることもあります。
断食の時間を増やすことより、 端を丁寧に整える。
この発想は、 12時間の休息(12:12)という 日常の習慣にも共通しています。
■中断する勇気
かかりつけ医や専門家と相談しながら進めていても、 思わぬ体調の変化が起こることがあります。
そのようなときは無理を続けず、 いったん中断し、 あらためて相談する判断も大切です。
極端な方法ほど、慎重に。
続けられる方法ほど、自然に。
●12時間の休息(12:12)|日常に近い整え方
ファスティングの一種として語られることもありますが、 12:12はむしろ、生活のリズムを整える習慣に近い考え方です。
特別なことをするのではなく、日常の中に「休む時間」を用意する。
脳には睡眠という休息があります。
しかし消化器は、自分の意思では止められません。
食べれば、働き続けます。
だからこそ、食事の間隔を整えることが、体に休む時間を用意することにつながります。
また、管理栄養士の研修の中でも、 12時間以上、連続して食事をとらない時間を意識することは、 日常生活の中で無理なく取り入れやすい 食事リズムのひとつとして共有されています。
また、時間栄養学の視点では、 食事の内容だけでなく、 「いつ食べるか」が 体内リズムや代謝に影響することが知られています。
夜の食事を早めに終え、 一定の休息時間を確保する12:12は、 現代の生活の中でも無理なく続けやすい 整え方のひとつと言えるでしょう。
特別な健康法というよりも、 一日の終わり方や次の朝の迎え方を整える日常の健康習慣として、 多くの管理栄養士が意識している考え方です。
管理栄養士の現場では、 こうした考え方がどのように捉えられているのか。 実際の対談をこちらに全文掲載しています。
極端な方法より、整った習慣。
■12:12とは
1日のうち約12時間は食事を控え、残りの時間に食事をとる。
16:8と同じように説明することもできますが、
「12時間に収める」というより、少し意識を向けた普通の食生活と言えるでしょう。
例えば、
- 朝7時に朝食 → 夕食は19時頃まで
- 朝8時に朝食 → 夕食は20時頃まで
それだけで、自然と体に休む時間が生まれます。
無理に済ませるのではなく、
落ち着いて一日を終える感覚です。
■何を期待して取り入れるのか
12:12は、日常に無理なく取り入れやすい方法として関心が寄せられています。
- 食事の時間が整いやすい
- 夜遅い食事を避けやすい
- 胃腸を休ませる時間をつくりやすい
結果として、生活全体のリズムが整いやすくなると感じる方もいます。
※感じ方には個人差があります。
■「始め方」と「終え方」
12時間であっても、
最初の一口と、その日の終わり方には目を向けたいところです。
空腹のあとに急に食べるのではなく、少しずつ始める。
そして夜は、次の朝に向けて穏やかに整える。
量より、端を丁寧に。
この発想は、どんな食事スタイルにも共通しています。
共通して大切なのは、「食事を再開する瞬間」です。
それは、16時間でも、12時間でも同じ。
→ 明けの最初の一口で、一日が決まる
■ インナー・クレンジング・タイムとは
夜の12時間は、体のための特別な時間。
私たちはこの時間を、「インナー・クレンジング・タイム」と呼んでいます。
夜の休息中、体はただ眠っているわけではありません。
食事をとらずに体を休ませながら、
エネルギー源の整理整頓(ケア)と、
昼間の活動で生じたダメージの修復(リペア)を、
静かに、そして力強く進めています。
この“ケアとリペア”が滞りなく行われるように、
体の内側をそっと整え、明日へつなげていくための、
「からだの内側から満たされる、静かなメンテナンスのひととき」。
ひと晩の過ごし方が変わると、
“目が覚めるのが楽しみになる”新しい自分の準備が、
ここから始まります。
私たちがおすすめしているのは、
夜のはじまりと、朝の目覚めに、
発酵とお酢の力をいかした一杯を。
夜は体を休ませながら、代謝にそっと火を灯し、
朝は代謝をやさしくリズムにのせるという過ごし方です。
■ 管理栄養士に聞く| 食事の間隔・時間帯についての実感と、水分についての余談(対談全文)
北川: 本日はお時間をいただき、ありがとうございます。 伊藤先生には本ページの内容について監修をお願いしていますが、 今日は、先生ご自身のお考えをあらためて伺いたいと思います。
■16時間断食について
まず、16時間断食(16:8)について、 どのようにお考えでしょうか。
伊藤(管理栄養士): 基本的には、意味のある方法だと思っています。
ただ、患者さんや相談者さんの様子を見ていると、 成功しやすいパターンと、そうでないパターンは ある程度分かれてくる印象があります。
北川: その違いは、どのような点にあるのでしょうか。
伊藤: 成功とは言い難いケースに比較的多いのが、 正午から午後8時を食事時間にする16時間断食です。
このパターンは、うまくいかないケースが 多い印象があります。
起床後から昼までを、 朝食をとらずに活動することになり、 低血糖に近い状態で午前中を過ごす方が 少なくないと感じています。
北川: 昔から「朝食はしっかりとりましょう」と言われてきましたが、 16時間断食でも同じ考え方なのでしょうか。
■ 朝食をとる16時間断食という考え方
伊藤: はい、その通りです。
朝食をとり、夕食を早めに終える16時間断食、 たとえば朝8時に食事を始め、16時頃に終える形は、 16時間断食としても理にかなっていると感じています。 16時間断食を始める前にしっかりと管理栄養士などに相談していただきたいのですが、 逆に朝食をとることができない状況でやろうと考えている方は、一層の注意が必要です。
北川: では、16時間を超えるような断食については、 どうお考えですか。
伊藤: 自己判断で進めることはおすすめしません。
断食時間が長くなるほど、 体への負荷は大きくなります。 行う場合は、かかりつけ医や管理栄養士と相談しながら 進めることが大切だと思います。
■胃腸の12時間の休息について
北川: 一方で、12時間ほど食事をしない時間を設けることについては、 先生はどうお考えでしょうか。 東洋的な養生、脾胃の瀉実の考え方としても聞くことがあります。
伊藤: それ、栄養士会で話題に出ています。 12時間、胃腸を休める時間を確保することは、 とても大切だと感じています。
栄養士会の中では、 「理想は14時間だけど、 現代の生活スタイルも考えて12時間でも十分に意味がある」 という考え方が共有されています。
14時間空けるのは、 現代の生活リズムでは難しい場合も多いですからね。 無理をしてできない理想よりも、 続けられる日常を大切にしたいと考えています。
北川: 実際に、先生ご自身の生活でも そのような意識はありますか。
伊藤: はい。 特別な健康法というよりも、 一日の終わり方や次の朝の迎え方として、 ひとつの生活習慣として捉えています。
夜はなるべく早めに食事を終えるように意識しています。 今日も、ここに来る前に急いで夕食を済ませてきました。
北川: (※編者注:この日は19:30から対談を行っています。 ここからも、時間を空けることをとても大切にされているのが伝わってきます) ありがとうございます。
■成長期では
北川: お子さんの場合はいかがでしょうか。 夜に塾などがあると、 食事の時間も遅くなりがちだと思います。
伊藤: 成長期のお子さんの場合は、 大人とは事情が異なります。
代謝も高いですし、 夜食をとっても朝には自然とお腹が空くことが多いですよね。 大人と同じ制限を当てはめる必要はないと思います。
■糖と酢酸を同時に摂る
では、糖と酢を同時に摂ることについては、 どうお考えですか。
伊藤: 胃の内容物の排出が緩やかになることで、 血糖値の急上昇を抑える働きが期待でき、 考え方としては理にかなっていると思います。
ただし、その点を意識するあまり、 濃いお酢を空腹時にそのまま摂ると、 胃腸を刺激しすぎてしまうことがあります。 胃痛の原因になることもありますね。
その点、糖と酢酸を薄めた形で同時に摂れるものは、 体への負担を抑えながら取り入れやすい、 ひとつの選択肢だと感じます。
クエン酸サイクルを回すうえで、 糖と酢酸の両方を含んでいる点も、 使い方を考えやすいと思います。
北川: すると、12時間の食生活でも、 また医師や専門家の指導のもとで行う 16時間断食でも、 取り入れる意味はある、ということですね。
伊藤: はい。 特に長時間の断食を行う場合には、 発酵ドリンクを勧められることもあると思います。
その際には、 お酢が入っているものと入っていないものについて、 自分の体調や状況に合わせて 専門家に相談してみるのも、 ひとつの考え方だと思います。
■水の重要性
北川: 先ほどは、発酵ドリンクの話から、 さまざまな使い方の話題にも広がりましたが、 その流れで印象に残ったのが、 水分に関するお話でした。
伊藤: お散歩仲間の高齢のワンちゃんの話なのですが、 以前は食事もあまりとれず、坂道も上れないような状態だったんです。
それまで家の前をよぼよぼと歩くのが精一杯だったのに、 ある時、その子がスタスタと坂道を上っているのを見かけて、 「えっ、どうしたの!?」と驚いて飼い主さんに聞いたら、 「実は動物病院で治療の一環として水分を補ったんです」 とおっしゃっていて。
日々のお散歩の中で、 その劇的な変化を目の当たりにしたんですよね。
北川: 水分だけで、そこまで目に見えて違いが出るものなのですね。
伊藤: 水分が体にとってどれほど大切かを、 あらためて実感させられることだと思いました。
北川: 最後に、まとめると、 方法の強さよりも、 始め方や終え方、 そして日常として続けられるかどうかが 大切だということですね。
■長く続けられることが大切
伊藤: はい。 無理のない形で、 体のリズムを整えていくこと。 それが結果的に、 長く続くと思います。
■ 水分補給について重要
ファスティング中でも、水分は大切です。
食事を休める時間であっても、水や白湯などの水分補給は体に必要です。
食事から得られる水分がなくなる分、飲み物で補うことを意識するとよいでしょう。
「食べない=飲まない」と誤解してしまうことが、脱水リスクにつながります。
特に、就寝前や起床後は体内の水分が不足しやすいため、 のどの渇きを感じる前に、少量ずつ水分をとることが勧められています。
■ 16時間断食、12時間の休養とオートファジー
なぜ「16時間断食=オートファジー」と言われるのか
「オートファジー」は、細胞が自分の中の古くなったタンパク質や 不要物を分解・再利用する仕組みです。大切なのは、 ある時間を超えたら急にONになる“スイッチ”ではなく、 体の環境によって働き方(活性の度合い)が変わるという点です。
では、なぜ「16時間断食」がオートファジーと結びつけて語られるのでしょうか。
背景には、ざっくり言えば次のような考え方があります。
- 食べる回数や時間を減らすと、血糖とインスリンの山が減り、体が「栄養がいつも入ってくる状態」からいったん離れやすい
- その結果、エネルギーの使い方が切り替わり、細胞内のリサイクル機構(オートファジーを含む)が相対的に優位になりやすい
- 16時間という数字は、「仕事や家庭があっても実行しやすい」「1日を2つに割りやすい」という実用面の都合もあり、広まりやすかった
つまり、16時間断食の文脈で語られるオートファジーは、正確には 「食事をしない時間が長いと、相対的にリサイクル系が優位になりやすい」 という意味合いです。
ただし、ここで誤解されやすいのが、「16時間でなければ意味がない」 「12時間では働かない」という“線引き”です。 オートファジーは本来、食事・睡眠・血糖・ストレスなどの影響を受けながら、 連続的に変化します。したがって、一律の時間で区切れるものではありません。
むしろ、無理に空腹時間を伸ばしてドカ食い・血糖の乱高下・ストレスが起きると、 体にとって“整った環境”とは言いにくくなります。大切なのは、 時間を延ばすことよりも、胃腸を休め、血糖を乱さず、睡眠を守るという「環境」を整えることです。
胃腸の休養は「12時間」で十分と言える理由(MMCと睡眠)
胃腸には、内容物が空になると働くMMC(消化管間欠性強収縮)という自浄作用があります。 これは食後およそ90〜120分から始まり、約90分周期で繰り返される“掃除の波”です。
夕食を終えてから12時間食事を入れなければ、この波は数回しっかり起こり、 粘膜の修復や翌朝に向けたリセットという点では、物理的にも生理的にも十分な休養が確保できます。
さらに、代謝と修復の主役は睡眠です。睡眠中(約8時間)は、体が修復・再編モードに入りやすく、 無理に覚醒時間まで空腹を引き延ばすことが、必ずしも整う方向に働くとは限りません。
時間がない朝のグラデーション朝食
朝食をしっかり作る時間がない」という場合も、焦ってパンをかじり、血糖値を乱す必要はありません。
大切なのは、12時間の休養から活動モードへ、ゆるやかに移行する、グラデーションタイムをことです。
【STEP 0】 7:00:白湯を一杯飲む
まず、体に目覚めたことを伝えます。
【STEP 1】 7:30:お酢を含む発酵飲料。
酢酸が胃の出口をゆっくりにし、この後に食べるものの吸収をスローダウンさせます。
【STEP 2】 出発前:30秒で摂れる「タンパク質と脂質」
以下のどれか一つを口にするだけで、午前中の集中力が変わります。
- ヨーグルト:高タンパクで腹持ちが良い
- ゆで卵・温泉卵:準備不要の完全栄養食
- チーズ・ナッツ:良質な脂質がエネルギーを安定させる
【STEP 3】 午前中:足りない分は「補食」で補う
朝一回で食べ切る必要はありません。午前10時〜11時頃に「補食」を挟む
少量分割摂食を取り入れましょう。
夜と朝に「お酢を含む発酵飲料」を取り入れる意味
食事行動を歪めない設計として、固形物ではなくお酢を含む発酵飲料を 夜と朝に“少量”取り入れる考え方があります。 ここで大切なのは「時間を守ること」ではなく、就寝・起床に対して“無理のない位置”に置くことです。
※「21時」「7:30」は一例(目安)です。生活リズムに合わせて前後して構いません。
① 夜:休養を完成させるための準備(目安:就寝の1〜2時間前)
夜に取り入れるのは、食事ではなく水分を兼ねた少量の、お酢(酢酸)を含む発酵飲料です。 固形物を追加するのではなく、休養の質を守る“下準備”として位置づけます。
- 水分を摂っておく:睡眠中は呼吸や発汗で水分が失われやすく、夜のうちに補うと翌朝が楽になります。
- 代謝を落としすぎない:完全な空腹ストレスを避け、睡眠の修復モードを邪魔しにくい形でを考えてください。
- 胃腸を刺激しにくい:固形の食事ではなく、少量の“やさしい摂取”として扱います。
② 朝:静かに体を目覚めさせる(目安:起床後30〜60分、白湯のあと)
朝は血糖値が低い状態です。このタイミングで糖質主体の飲料を摂ると、血糖が急に動きやすいことがあります。 まずは白湯で体を落ち着かせ、そのあとにお酢(酢酸)を含む発酵飲料を取り入れることで、 体の立ち上がりを穏やかにしやすくなります。
血糖関連の研究では、酢酸に胃排出を緩やかにする(胃排出遅延)作用が示されており、 朝の摂取は血糖変動を穏やかにしながら、代謝のスイッチをやさしく入れるという点で理にかなった方法だと考えられます。
「固定ルール」にしないための一言
「毎日この時間に」と決めた瞬間、健康法は「楽しみ」ではなく「修行」になってしまいます。 大切なのは、その日の生活に合わせて、就寝・起床・食事のサイクルを無理のない位置に置くことです。
※ここでいう「お酢(酢酸)を含む発酵飲料」とは、刺激や糖分が強すぎず、胃腸への負担が小さいものを想定しています。
■ 明けの最初の一口で、一日が決まる
空腹のあと、体は「休むモード」から「動くモード」へ切り替わります。
この切り替えの瞬間に、固形物や量の多いもの、濃いものを一気に入れると、 体が驚いてしまうことがあります。
だから大切なのは、食事の内容そのものよりも、 最初の一口の設計です。
ポイントは、少量から・薄めて・ゆっくり。
「休ませる時間」と「動かし始める時間」を、なだらかにつなぐ。
それが、明けの一杯の役割です。
その“橋渡し”の具体的な考え方を紹介します。
■ やさしく目覚めさせる橋渡し役
夜のあいだ、しっかりと休んだ胃腸は、朝になると少しずつ動き始めます。 その「目覚めの時間」に、何を最初に体に入れるかは、とても大切なポイントです。
発酵食品は、微生物が消化の一部を担った後の生成物であり、 体に負担をかけにくい形になっているという特徴があります。 固形物をいきなり入れるのではなく、流動的な形でそっと取り入れることで、 休んでいた消化器を、無理なく動かし始めることができます。 また、穏やかな酸味を持つ薄めたお酢は、朝の体にとって刺激が強すぎず、 「これから動き始めますよ」という、体へ合図になります。
塩分が少なく、すっと飲める発酵ドリンクは、
「休ませる時間」と「動かし始める時間」をつなぐ、やさしい橋渡し役です。
また、お酢に含まれる酢酸には、
胃の中のものが腸へ送られるスピードを緩やかにする働き(胃排出遅延)があると言われています。
休んでいた体にとって、急に流れ込むのではなく、
ゆるやかに移っていく感覚は、朝の負担を抑える一助になるかもしれません。
目覚めの一杯として体を整え、穏やかに一日を始める。 そんな使い方が、ファスティングを無理のない習慣にしてくれるのかもしれません。
その「橋渡し役」となる発酵飲料を選ぶときの、
ひとつの目安をご紹介します。
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Q&A
よくある質問(コラム版)
停滞期・ファスティング・運動・発酵食品について
正しく代謝を維持すれば、多くの場合数週間〜1ヶ月ほどで落ち着きます。強い疲労感がある場合は専門家へ相談してください。
短くやさしい方法でも十分に取り入れられます。無理なく続けられる形で行うことが大切です。
自分を追い込むのではなく、本来の自分を取り戻し、体のリズムを静かに整えること。減らすことより、整えること。