食酢の基礎

酢酸とは何か|食酢に共通する成分と研究

酢酸は、米酢、穀物酢、果実酢、柿酢などに共通して含まれる、食酢の酸味の中心となる成分です。

このページでは、酢酸がどのように作られ、体内でどう利用されるか、そして食酢について人を対象に行われた研究を整理します。

酢酸は、食酢の酸味の中心です

食酢にはさまざまな種類がありますが、共通しているのは酢酸を含むことです。原料が米、麦、ぶどう、りんご、柿などで異なっても、食酢としての酸味の中心は酢酸です。

一方、酢酸以外の成分は、原料、発酵方法、熟成期間、ろ過、加水などによって変わります。柿酢であれば、柿や発酵に由来するポリフェノール、アミノ酸、有機酸などが特徴として現れる場合があります。

酢酸は、アルコールから作られます

食酢の製造では、まず糖を酵母がアルコールへ変え、そのアルコールを酢酸菌が酢酸へ変えます。

↓ 酵母
アルコール
↓ 酢酸菌
酢酸

この二段階の発酵が、果実や穀物から食酢ができる基本的な流れです。

酢酸は、体内でアセチルCoAへ変わります

吸収された酢酸は、体内でアセチルCoAへ変換されます。アセチルCoAは、糖質や脂質などからも作られる、代謝の中心的な物質です。

ミトコンドリア内で作られた酢酸由来のアセチルCoAは、クエン酸サイクルでエネルギー代謝に利用されます。細胞質や核で作られたアセチルCoAは、脂肪酸やコレステロールの合成、たんぱく質のアセチル化などにも使われます。

詳しい位置関係は「酢酸はアセチルCoAに近い|クエン酸サイクルにおける位置」で整理しています。

食後血糖について研究されています

食酢については、食事とともに摂取した場合の食後血糖や食後インスリンの変化を調べた研究があります。研究条件や対象者によって結果は異なりますが、食後の血糖上昇を抑える方向の報告があります。

ここで確認されているのは、食酢を摂取した後の測定値の変化です。作用の説明としては、胃から腸への移動、糖の吸収、筋肉での糖利用など複数の可能性が研究されています。

高めの血圧について研究されています

正常高値血圧者や軽症高血圧者を対象に、食酢を含む飲料と対照飲料を比較した研究があります。食酢を摂取した群で血圧が低下したとする報告がある一方、研究数や対象人数には限りがあります。

柿酢についても、和歌山県・JA・和歌山県立医科大学による共同研究で、毎日20mlを飲用した血圧が高めの人に、最高血圧7mmHg、最低血圧4mmHgの下降が報告されています。詳しくは「柿酢と血圧」で整理しています。

体重や内臓脂肪について研究されています

肥満傾向の日本人を対象とした12週間の二重盲検試験では、食酢を摂取した群で、体重、BMI、内臓脂肪面積、腹囲、血清中性脂肪が対照群より低かったと報告されています。

この研究は食酢メーカーの研究者によって行われています。結果を評価するときは、試験方法とともに研究主体も確認する必要があります。

酢酸に共通する作用と、食酢ごとの違い

米酢、穀物酢、果実酢、柿酢は、いずれも酢酸を含みます。そのため、酢酸に由来する作用には共通する部分があります。

一方、酢酸以外の成分は食酢ごとに異なります。柿酢固有の特徴を確かめるには、酢酸量をそろえた他の食酢や、酢酸を含まない対照飲料との比較が必要です。

摂り方に注意します

食酢は酸性が強いため、原液を一度に多く飲むと、口や喉、胃への刺激になることがあります。飲用する場合は、水や炭酸水などで薄め、食品として無理のない範囲で利用します。

治療中の病気がある方や、薬を服用している方は、食酢を健康目的で継続摂取する前に医師や薬剤師へ相談してください。

まとめ

酢酸は、米酢、穀物酢、果実酢、柿酢などに共通して含まれる食酢の主成分です。体内ではアセチルCoAへ変わり、エネルギー代謝や物質合成に利用されます。

食酢については、高めの血圧、食後血糖、体重、内臓脂肪などを対象にしたヒト研究があります。

食酢の共通部分を見るときは酢酸を、柿酢など個々の食酢の特徴を見るときは、原料や発酵に由来する成分もあわせて考えます。