最終更新日:2026-03-28
社会保険労務士 顧問料・費用の相場
― 料金の高低ではなく、何を引き受けてもらえるかで見る ―
社会保険労務士の顧問料・費用の相場は、従業員数・契約範囲・事務所の体制によって変わるため、料金だけで比較しても判断できない。料金の高低ではなく、その金額で何を引き受けてもらえるかを確認することが、相場を正しく読む出発点である。
ネット上には「社労士の相場」として料金の目安が示されていることがある。ただし、含まれる業務範囲・相談体制・担当者の体制が異なれば、同じ金額でも実際の価値は大きく変わる。相場は契約を決める答えではなく、比較を始める入口として使う方がよい。
相場を見る前に確認すること
料金を比較する前に、まず自社がどこまでを社労士に任せたいかを整理しておく必要がある。前提が揃っていなければ、価格だけを比較しても意味がない。
契約範囲・対応規模・担当体制の確認については、社会保険労務士 顧問契約 確認事項を参照。
料金が変わる主な要因
社労士の顧問料に差が出るのは、単に「高い・安い」の問題ではない。多くの場合、違いは以下のどれかに現れる。
- 含まれるサービス範囲(相談のみ・手続き代行・給与計算の有無)
- 相談対応の頻度と深さ
- 担当者の体制(社労士本人か、スタッフ対応か)
- トラブル時の対応範囲
- 従業員数・入退社の頻度
料金差は利益率の差というより、何を引き受けるかの差として現れることが多い。高い事務所があった場合は、単に避けるのではなく「なぜこの金額になるのか」を聞いてみると、比較の軸が見えやすくなる。
「相場」と書かれた数字の読み方
ネット上で示される相場の数字は、参考にはなるが、そのまま市場価格だと考えない方がよい。以下の点が示されていない場合、その数字は統計的な相場というより説明上の目安にとどまることがある。
- いつ時点の情報か
- 何件くらいの事務所を見ているか
- どの地域の価格帯か
- どこまでの業務を含んでいるか
特に、「月額○万〜△万円」のように範囲で示されている場合は注意が必要である。その範囲が何を根拠にしているのかが、多くの場合示されていない。従業員数の違いによる幅なのか、契約内容の違いによる幅なのか、地域差なのか。範囲の根拠が示されていない数字は、比較の材料にはなりにくい。
料金表の読み方の実例
ネット上の料金表には、構造的に読み取りにくいものがある。たとえば、次のような形式が見られる。
- 基本料金に加えて従業員数ごとの加算額が設定されており、合計がいくらになるか自分で計算しなければならない
- 基本料金・加算額ともに「○円〜」という下限のみの表記で、上限が示されていない
- 同じサイト内に複数の料金表があり、前提条件が異なるため、どちらを参照すればよいか分からない
- 「基本的な手続きを依頼した場合」という条件が付いているが、「基本的な手続き」が何を指すかの説明がない
これらの料金表は、見た側が「うちは従業員が少ないから月額2万円くらいで頼めるのか」という印象を持ちやすい構造になっている。ただし実際には、その金額で何が含まれているのかは、表からは読み取れないことが多い。
「じゃあうちはいくらで何をやってもらえるのか」という疑問が残るのは当然である。表の構造上、その答えが読み取れないように書かれているからだ。
料金表は、その事務所への問い合わせを促すための情報として設計されていることが多い。発注者としては、表から概算を得ようとするより、自社の条件を固定した上で直接確認するか、AIに複数の事務所の料金表を読み込ませて整理してもらう方が実態に近い情報が得られる。
料金表は条件を揃えて比較する
多くの社労士事務所サイトでは、料金表が従業員数を縦軸にした自社料金表として掲載されている。これは自事務所の契約体系を説明するには分かりやすいが、発注者が複数の事務所を比較するには、そのままでは使いにくい。
選ばれる側が書く料金表は、構造的に自事務所の見せ方に合わせた形になりやすい。発注者に必要なのは、自社の従業員数を固定し、必要な業務内容を揃えた上で複数の事務所を横並びにする比較である。
気になる事務所のサイトURLを複数まとめてAIに渡し、「従業員○人の場合、各事務所の料金と含まれるサービスを表にして」と依頼すると、発注者目線の比較表が得やすくなる。以下は、google検索上位5社を、Claude AIに依頼した結果の例である。
【AIによる料金比較表の例】従業員7人の場合(税抜・月額目安)
| 事務所 | 相談のみ | 相談+手続き代行 | 相談+手続き+給与計算 |
|---|---|---|---|
| A事務所 | 10,000円 | 15,000円 | 40,000円※ |
| B事務所 | 14,000円 | 20,000円 | 30,000円 |
| C事務所 | 10,000円※ | 25,000円 | 36,000円 |
| D事務所 | 記載なし | 35,000円〜 | 要見積 |
| E事務所 | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ |
※A事務所の給与計算は基本料10,000円+人数別料金15,000円の合算。C事務所の相談のみは1〜19人一律。
ただし、AIの出力は鵜呑みにせず、直接事務所に確認することが重要である。
よくある質問
- 社労士の顧問料の相場はいくらですか?
- 顧問料は、従業員数・契約範囲・地域・事務所体制によって変わります。検索上位10事務所を調べたところ、相談のみに相当するプランを金額付きで掲載していたのは4事務所のみで、10,000円(税別)〜25,000円(税区分の記載なし)の範囲でした。ただしその4事務所でさえ、従業員区分の刻み方がそれぞれ異なり、税込・税別の表記もまちまちで、なかには料金表の近くに税区分の記載自体がない事務所もありました。残り6事務所は記載なし・対象外・要問い合わせです。この状態で相場を言い切れる方が、むしろ不思議だと考えています。
- 社労士の報酬・費用の相場はいくらですか?
- 顧問契約の月額費用だけでなく、スポット依頼の費用も含めると、社労士の報酬は依頼内容によって大きく変わります。就業規則の作成、助成金申請、労務相談、36協定の届出などは、それぞれ料金の決まり方が異なるため、「何を依頼する費用か」を分けて考える必要があります。
- 社労士の顧問契約の相場は、どう見ればよいですか?
- 顧問契約の相場は、月額料金だけで判断しない方が安全です。同じ金額でも、相談のみか、手続き代行を含むか、給与計算まで含むかで実質的な内容が大きく変わることがあります。顧問契約の相場を見るときは、金額そのものより、何を引き受けてもらえる契約かを確認することが重要です。
- 高い事務所と安い事務所は何が違いますか?
- 含まれる業務範囲、相談対応の深さ、担当体制、トラブル時の対応範囲が異なることが多くあります。価格差がある場合は「何を引き受ける契約なのか」を具体的に確認した方がよいです。安い事務所が必要な範囲を含んでいない場合もあり、後から別料金が増えることもあります。
- 相場を調べる前に何を決めておけばよいですか?
- まず顧問契約が必要か、スポット依頼で足りるかを決めます。その上で、どこまでを社労士に任せたいかを整理しておくと、相場の見方を間違えにくくなります。詳細は社会保険労務士の選び方および社会保険労務士 顧問契約 確認事項を参照してください。
