令和7年度 共通選抜 追検査|神奈川県公立高校入試 数学

問3(ア) 証明の穴埋めと円の角度

(i)は、証明の穴埋めとしては非常に素直である。ただし、即答できるのは勘ではない。証明で何を示したいのか、直前の式のどこだけを見ればよいのかが決まっているからである。理屈は理解し、本番では判断手順を圧縮して即断する。

(ii)も計算自体は難しくない。大切なのは、分かる角を片っ端から埋めることではなく、答えを出すために今どの角が必要か、そのために次にどの角が必要かを逆向きにたどることである。求められる角を求めるのではない。必要な角を求める。このページでは、その判断の順番を青系統・赤系統に分けて示す。

(i) 証明の穴埋め

(a)
理屈 「②、③より」とあるので、使うのは②と③で示した角の関係だけである。ここで証明したいのは \(\triangle ACE \sim \triangle GFD\)。図の上で物理的に同じ角であっても、証明ではこれから使う三角形の角として書き直す必要がある。②、③で得た角の関係を \(\triangle ACE\) と \(\triangle GFD\) の角として読み替えると、\(\angle AEC=\angle GDF\) となる。
試験では 「②、③より」→②、③だけを見る→相似にしたいのは \(\triangle ACE\) と \(\triangle GFD\) →その2つの三角形の角としてつながるものを選ぶ。ここまでを毎回言葉にせず、一気に処理する。

答え 1.

(b)
理屈 (a)までで、\(\triangle ACE\) と \(\triangle GFD\) について2組の角がそれぞれ等しいことがそろった。したがって使う相似条件は「2組の角がそれぞれ等しい」である。
試験では 角度の話しか出ていない。2組の角の等しさがそろった時点で、相似条件はノータイムで4。

答え 4.

即答は省略ではない

速いのは選択肢を雑に見ているからではない。何を証明したいかが分かっているので、見る範囲を最初から限定できるからである。学習中は理屈まで確認する。本番では、その理屈を毎回展開せず、判断手順だけを圧縮して即断する。

(ii) 答えから逆算して、必要な角だけを追う

この問題で \(\angle AOD=44^\circ\) を出すこと自体は難しくない。ABは直径なので \(\angle ACB=90^\circ\)、したがって \(\angle ACD=90-68=22^\circ\)。中心角は円周角の2倍だから、\(\angle AOD=44^\circ\) である。

しかし、ここで大切なのは44°を求められることではない。44°を求めるべきだと判断できることである。多くの解説は、なぜ \(\angle AOD\) が必要なのかを書かないまま、いきなり \(90-68\)、\(22\times2\) と計算を始める。

先に最後を見る。求めたい \(\angle AID\) は、\(\triangle AOI\) の外角である。したがって、\(\angle OAI\) と \(\angle AOI\) が分かれば終わる。そして \(\angle AOI=\angle AOD\) だから、ここで初めて \(\angle AOD\) を求めにいく理由が生まれる。

つまり、この問題の出発点は「22°が出せるから44°も出しておこう」ではない。最後に44°が必要だから、その円周角22°を取りにいく。この順番で考える。

青系統と赤系統に分けた考える順番

青系統は \(\angle AOD\)、赤系統は \(\angle OAH\) を作るための逆算。番号は「計算順」ではなく「欲しい角をたどった順」である。

判断の順番|答えに必要な角から逆向きにたどる

最後は外角定理 → 求めたい \(\angle AID\) を出すには、赤① \(\angle OAH\) と青① \(\angle AOD\) が必要。だから、この2つを先に目標にする。
青①を出す → その円周角である青② \(\angle ACD\) が欲しい。
赤①を出す → \(\angle BOH=\angle FOH\) を使うため、まず赤② \(\angle FOH\) が欲しい。
赤②を出す → \(\angle FOB\) が欲しい。そのためには赤③ \(\angle DOF\) が欲しい。
赤③を出す → 最初は赤④が必要に見える。さらにそのために赤⑤が欲しい。

解答の順番ではなく、考えた順番を書く

完成した解答だけを見ると、22°、44°、34°、12°、62°、31°と順番に求めればよいように見える。しかし、初見でその順番が最初から分かっているわけではない。特に44°は「簡単に求められる角」だから求めるのではなく、最後の外角定理に必要だから求める。

実際には「この角が分かれば終わる。そのためにはこの角が欲しい」と必要な角をさかのぼり、末端までたどってから計算を戻してくる。解法そのものではなく、次にどこを見るかという判断の連鎖を残すことが、この解説の目的である。

青系統 \(\angle AOD\) を求める

青系統

青② ABは直径なので \(\angle ACB=90^\circ\)。\(\angle BCD=68^\circ\) だから、\(\angle ACD=90-68=22^\circ\)。
青① \(\angle AOD\) は \(\angle ACD\) の中心角なので、\(\angle AOD=22\times2=44^\circ\)。

赤系統 \(\angle OAH\) を求める

(i)で全く使わなかった条件が \(\angle BOH=\angle FOH\) である。したがって、\(\angle FOB\) が分かれば赤②はその半分になる。

なぜOCに補助線を引くのか

円周上の3点と中心を結んだ四角形、いわゆる「ブーメラン型」の角度を求めるとき、中心と円周上の点を結んで、等辺が半径になる2個の二等辺三角形を作るのは常套手段である。

ここでOCを引くと、CB=CD、OB=OD(ともに半径)、OCは共通なので、\(\triangle OCD\equiv\triangle OBC\)。したがってOCは \(\angle BCD\) を二等分し、赤⑤は \(68\div2=34^\circ\)。

なお、CB=CDのとき、ブーメランのとがったところ \(\angle CDO\) は \(\angle BCD\) の2分の1になることを知っていれば、34°は補助線なしで求めてもよい。

赤系統

赤⑤ \(\angle CDO=34^\circ\)。
赤④は不要になる 逆算した段階では赤④が必要に見えたが、赤⑤=34°が出た時点で飛ばせる。OF∥ACより青②=22°をそのまま使い、赤③は \(34-22=12^\circ\)。
赤③ \(\angle DOF=12^\circ\)。
赤② \(\angle FOB=180-(44+12)=124^\circ\)。\(\angle BOH=\angle FOH\) より、\(\angle FOH=124\div2=62^\circ\)。
赤① \(\angle OAH=\angleの円周角\)。したがって \(\angle OAH=\angle OHA=31^\circ\)。

最後は外角定理

外角定理 \(\angle AID=\angle OAH+\angle AOD=31+44=75^\circ\)

答え \(75^\circ\)

解説者

北川誠二

個別指導塾TOMAS現役講師・北川塾主宰・認定心理士

中学受験4教科と中学国語・数学を指導。答えそのものより、初見で次にどこを見るかという判断の順番を重視して解説する。

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