最終更新日:2026-06-22

連立方程式の文章題・北川式の解き方

ステップを順番に踏めば、文章題は解ける。
習練して定着すれば、得意になる。

このページを読む前に

連立方程式の文章題が解けない原因は、国語力でも計算力でもありません。「学校が教える順序」と「脳が実際に考える順序」が逆転していることにあります。その構造を理解してからこの実践編を読むと、各ステップの意味が明確になります。

→ 先にこちらを読む:連立方程式の文章題が解けない本当の理由

北川式の基本原理

北川式は、「数学的関係を発見する操作」を5つのステップに分解したものである。認知負荷を下げ、本質に集中するという北川式の原理を、連立方程式の文章題に適用したものがこのステップである。発見した関係を単位で確認し、式で表現し、計算する。この順序を崩さない。

北川式・5つのステップ

STEP0

場面を動かして、いらない部分を消す

関係を発見できない原因は、日本語が読めないからではない。関係を見えなくしている情報が、そのまま頭の中に残っているからである。だから最初に不要な情報を消す。

まず、文章を頭の中で動く場面として再現する。紙の上でアニメのように動かす。その場面から、出題者が見せたい数学的関係に不要なものを消す。邪魔な情報が消えると、本質的な関係だけが残る。

  • 旅人算(折り返し)——折り返すという動作を消す。二人が歩いている時間だけ見る。すると「二人とも歩き続けているから時間は同じ」が見える。
  • 通過算——鉄橋を一度消す。電車だけが動くアニメを想像すると、先頭から先頭までの移動距離が見える。鉄橋が入ると「スタート時は最後部、渡り切った時は先頭」という誤解が生じやすい。
  • 座標グラフ——問われていない線を先に消す。抽象化するたびにいらなくなった線をまた消す。

いらない情報を消すと、問題の本質が見えてくる。しかし、本質が見えても、何を求める問題なのかが曖昧では式は作れない。そこで次に、「何を聞かれているか」を自分の言葉で確認する。

STEP1

何を聞かれているかを、自分の言葉で言う

変数を置く前に、「この問題は○○と○○を聞いている」と自分の言葉で声に出す。誘導されて答えるのではなく、自分で発見してから言う。

誘導されてx・yを決めた生徒は、次の行を書く頃には何のための変数かを忘れる。自分で発見したものは忘れない。

言えないうちは変数を置かない。「何を聞かれているか」が自分の言葉で言えた時点で、変数の中身は自然に決まっている。何を求めるかが決まれば、次はその量を何の単位で表すかを決める。

STEP2

x・yの単位を先に決める

変数の中身より単位が先。「x=○○(単位)」「y=○○(単位)」を余白に書いてから式を作り始める。

単位が決まると、その単位で成立する式しか作れなくなる。単位が式のフィルターになり、構造的に間違った式が自然に排除される。

  • 速さの問題なら「x=走った時間(分)」「y=歩いた時間(分)」と先に書く
  • 代金の問題なら「x=70円の菓子の個数(個)」「y=100円の菓子の個数(個)」と先に書く

単位が決まったら、次は式を作る。ただし、異なる単位のままでは式は作れない。同じ意味の量が混在していたら、先に単位を揃える必要がある。

STEP3

単位を揃えてから式を作る

同じ意味の量が異なる単位で出てきたら、どちらかに統一してから式を作る。換算が先、加算が後。

よくある換算パターン

  • 分と時間が混在 → 分に統一(または時間に統一)してから足す
  • kmとmが混在 → mに統一してから足す
  • %と実数が混在 → ÷100して実数に揃えてから計算する(30%増 → ×1.3)

単位が揃ったら式を作れる。最後に、その式が単位として本当に成立しているかを確認する。

STEP4

式の単位を確認する

式を書いたら、単位の3つの法則で確認する。単位が合わない式は必ずどこかが間違っている。

加算は同じ単位でしかできない

道のり+道のり、時間+時間は足せる。道のり+時間は足せない。左辺と右辺の単位が一致しているか確認する。

乗算は単位も一緒に計算する

速さ(km/h)× 時間(h)= 距離(km)。hとhが約分されてkmだけ残る。これが見えると、何をかけるべきかが暗記なしで決まる。

x・yの単位で式全体を確認する

STEP2で決めた単位が、式の全項で一致しているか見る。単位が一致しない項があれば、そこが式の誤りの場所である。

これらのステップが習練して定着すれば、
連立方程式の文章題は得意になる。

——北川誠二

なぜこの順序でなければならないか

学校は「解き方→立て方→文章題」という順序で教える。しかし実際に解けている生徒の頭の中では「関係発見→表現→計算」という逆の順序で動いている。

このステップはその認知の順序を、誰でも再現できる手順として明示したものである。STEP0で関係を発見し、STEP1で何を求めるかを確定し、STEP2〜4で式を組み立てる。計算はその後にくる。

「いらない部分を消す」という操作は、連立方程式の文章題に限らず、北川式が国語・数学の両方で一貫して使う認知操作である。国語の選択肢では共通部分を消す。神奈川入試数学の問1・2では無理数部分が共通なら消す。座標グラフでは問われていない線を消す。どれも同じ操作をしている。

生徒の言語化より

「文章を読むと図を考える。紙の上でアニメのように動く。折り返しの旅人算なら、Aさんがついて折り返してゆっくり歩いてきたBさんと出会う。鉄橋だったら、いったん頭の中から鉄橋を抜き、単に電車が動いているアニメを想像すれば、先頭から先頭までが移動距離とわかる。」

よくある質問

連立方程式の文章題は、最初に何をすればよいですか。

最初に式を作ろうとしません。まず文章を頭の中で動く場面として再現し、出題者が見せたい数学的関係に関係ない情報を消します。関係を見えなくしている情報を消すことで、「同じ時間」「保存される量」「橋+列車」などの本質が見えやすくなります。

xとyは最初に決めるべきですか。

最初に決めません。先に「この問題は何を聞いているのか」を自分の言葉で言います。何を求める問題なのかが言えた時点で、xとyに置くものは自然に決まります。誘導されて変数を置くと、次の行を書く頃には何のための変数かを忘れやすくなります。

なぜ単位を先に決めるのですか。

単位を決めると、その単位で成立する式しか作れなくなるからです。例えばxを「時間(分)」と決めたなら、距離や個数をそのまま足す式は作れません。単位は、間違った式を自然に排除するフィルターになります。

単位を揃えるとはどういうことですか。

分と時間、kmとm、%と実数のように、同じ意味の量が違う単位で出てきたときに、どちらか一方に統一することです。単位が混ざったままでは正しい式は作れません。換算が先で、加算や立式はその後です。

この5ステップは速さの問題だけに使うものですか。

速さだけではありません。代金、割合、食塩水、仕事、一次関数など、連立方程式の文章題全般に使えます。どの問題でも、まず不要な情報を消し、出題者が見せたい数学的関係を発見し、それを単位で確認してから式で表現する流れは同じです。

なぜ5ステップで考えるのですか。

学校では「式を作る、計算する」という順序で見えがちですが、実際に解けている生徒の頭の中では、まず関係を発見し、何を求めるかを決め、単位を決め、式を書き、最後に計算しています。北川式5ステップは、この頭の中の流れをそのまま手順にしたものです。

執筆

北川誠二

個別指導塾TOMAS現役講師・北川塾主宰・認定心理士

中学受験4教科と高校受験の国語・数学を指導。国語・数学を同時に指導することで見えてきた「問題文読解と数学得点の直結」を解説に活かす。認定心理士としての知見が、このアプローチの設計根拠になっている。

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