柿酢の抗酸化作用|人が飲んだ研究で分かったこと

柿酢を飲んだ人を調べたところ、体内で酸化を抑える力を示す数値が上がり、酸化による負担を示す数値が下がったという研究があります。このページでは、健常者81名を対象とした査読論文をもとに、報告された変化を整理します。

81人が約8週間、柿酢を飲んだ研究です

牟礼・竹下らは、30歳から69歳までの健常者81名を対象に、柿酢を飲む前と飲んだ後の変化を調べました。

参加者は二つのグループに分けられ、一方は3月から56日間、もう一方は6月から54日間、柿酢を飲みました。

研究では、血液と尿から、次の二つが測定されています。

論文では、血液の指標を「血中総抗酸化能」、尿の指標を「8-イソプロスタン」と呼んでいます。

酸化を抑える力を示す数値が上がりました

柿酢を約8週間飲んだ後、血液中の酸化を抑える力を示す数値が上がりました。

これは、血液中にある複数の抗酸化成分をまとめて調べた結果です。特定のビタミンやポリフェノールだけを測ったものではありません。研究では、統計上、偶然とは考えにくい上昇が報告されています。

酸化による負担を示す数値は下がりました

尿から測定した8-イソプロスタンは、脂質が酸化されたときに生じる物質で、体内の酸化による負担を調べる指標の一つです。

柿酢を約8週間飲んだ後、この数値は低下しました。

酸化を抑える力を示す数値が上がり、酸化による負担を示す数値が下がった、という二つの変化が同時に報告されています。

季節や男女で、変化の現れ方に違いがありました

3月から飲み始めたグループでは、酸化を抑える力を示す数値の上昇が大きく、6月から飲み始めたグループでは、尿中8-イソプロスタンの低下が大きく現れました。

また、男女でも変化の大きさに違いがあり、喫煙習慣と尿中8-イソプロスタンとの関連も調べられています。著者らは、季節や性別などが結果に影響する可能性について、さらに研究が必要だとしています。

人が飲んだ後の変化を調べた点に特徴があります

柿酢の抗酸化作用については、成分量を測る研究、試験管内で酸化を抑える力を調べる研究、人が飲んだ後の血液や尿を調べる研究があります。

今回の研究は、柿酢に抗酸化成分が含まれていることから効果を推測したものではありません。人が実際に柿酢を飲み、その前後で血液と尿の数値を測定しています。その点で、柿酢と抗酸化作用を考えるうえで重要なヒト研究です。

柿酢のどの成分による変化かは特定されていません

この研究で分かったのは、柿酢を飲んだ後に二つの数値が変化したことです。

柿由来のポリフェノール、食酢に共通する酢酸、発酵によって生じた有機酸などが、それぞれどの程度関わったのかは調べられていません。

柿酢と、酢酸量をそろえた穀物酢や対照飲料を比較した研究でもないため、現時点では、柿酢全体を飲んだ後に、酸化を抑える方向の変化が観察されたと整理できます。

この結果を、すべての柿酢に当てはめることはできません

研究に使われたのは、特定の柿酢です。柿酢は、原料となる柿の品種、加水の有無、発酵方法、熟成期間、ろ過などによって成分が変わります。

そのため、この研究で使われた柿酢と異なる原料や製法の柿酢でも、同じ変化が起きるとは限りません。

試験方法にも限界があります

この研究は、柿酢を含まないプラセボ飲料と比較した二重盲検試験ではありません。また、二つのグループは異なる季節に柿酢を飲んでいるため、季節や生活条件など、柿酢以外の影響を完全に除くことはできません。

今回観察された変化のすべてを柿酢の飲用だけによるものと判断するには、対照群を置いた追加研究が必要です。

柿酢に含まれる成分について

柿酢のポリフェノール量や、発酵によって生じるアミノ酸・有機酸については、「柿酢の成分」のページで整理しています。

柿酢の成分|ポリフェノール・アミノ酸・有機酸の研究

まとめ

健常者81名が柿酢を約8週間飲んだ研究では、体内で酸化を抑える力を示す数値が上がり、酸化による負担を示す数値が下がりました。

研究に使われた柿酢は特定のものであり、対照飲料との比較も行われていません。そのため、すべての柿酢で同じ変化が起きるか、どの成分が変化に関わったかは、今後さらに確かめる必要があります。

人が実際に柿酢を飲んだ後に、酸化を抑える方向の二つの変化が確認されたことを示す、重要なヒト研究です。

原著論文

牟礼佳苗、竹下達也、森岡郁晴、有田幹雄「柿酢飲用による血中抗酸化能および尿中イソプロスタンレベルの変化」『日本衛生学雑誌』62巻1号、32–38頁、2007年